食卓に華広げる肝付の焼き物―豊秋窯

茶碗やマグカップなど絵付陶器がずらりと並ぶ作業場で上絵付けに没頭しているのは陶工の福田豊秋さん。鹿児島県肝付町に開窯して30有余年となる豊秋窯の代表です。

主に手掛けるのは白化粧(粉引)した陶器の上に赤を主とした顔料で上絵付けした陶磁器、「赤絵」です。今回は鮮やかな色合いで力強さと繊細さ、その両極を生み出す豊秋窯を紹介します。

栃木県益子町の窯元に勤めるなど元々、焼き物に携わっていた福田さん。故郷、肝付町に開窯することを目標に努力を積み重ねてきました。

数年間の修行を経た後、開窯へ向けて動き出します。まず窯を自分で作るために窯炉制作所に就職したのだそうです。

 

そこで、福田さんにとって作品制作に多大な影響を与える人物と出会うことになります。その人物とは栃木県益子町を代表する陶芸家、高内秀剛氏です。

以前からその名を知り、高内氏の作品にあこがれていた福田さんは、窯炉制作所に出入りしていた高内氏に30代半ばで弟子入りすることが叶いました。

福田さんは「一つの作品を丹精込めて作る焼き物屋になる。高内氏に師事してから、その気持ちを大切にするようになりました」と話します。

数年後、感性と技術に磨きをかけた福田さんは満を持して肝付町に帰郷しました。そこで開いた窯が豊秋窯です。高内秀剛氏の「しゅう」を自身の名前と重ねて「ほうしゅう」としたのだそうです。

そこから数々の作品を生み出し、今では仕事場での直売の他、町の商店街に小売店を展開しています。

「制作に取り掛かるときは、使い易い器をと、心掛けています。今は流通しやすい食器類をメインに手掛けていますが、ゆくゆくは師匠のように立体的な作品を作りたいと思って、日々精進しています」と話します。

 

今年で72歳となる陶工、福田豊秋さんの焼き物に対する探求心は、火入れされた窯のように熱く燃え続けています。

【豊秋窯】
鹿児島県肝属郡肝付町新富5589-37
不定休/0994-65-2409

【うつわ ぱれあな】
鹿児島県肝属郡肝付町新富226-1
水〜土/0994-65-2409

  • コメント: 0
  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)