小惑星探査機「はやぶさ」- 6月13日は「はやぶさの日」!

目 次
1.2003年5月、内之浦からの旅立ち
2.通信途絶からの復活、エンジン故障からの成功
3.3年遅れ、約7年ぶりの地球帰還とラストミッション
4.銀河連邦として「はやぶさの日」を制定
5.「世界初」としてギネス認定
6.「はやぶさ」の偉業、3本の映画に
7.「はやぶさ」をもっと知る! リンク集



1.2003年5月、内之浦からの旅立ち

2003年5月9日13時29分25秒に、JAXA内之浦宇宙空間観測所からM-Vロケット5号機によって打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ」。
コードネームは「MUSES(ミューゼス)-C」「MUSES」は、世界最高水準を目指して作られた固体燃料ロケット「M(ミュー)ロケット」を使用して行う工学実験衛星・探査機のシリーズの名称で、すべて内之浦から打ち上げられています。MUSES-A「ひてん」MUSES-B「はるか」につづく3つ目のミッションがMUSES-C「はやぶさ」でした。

「はやぶさ」が飛び立ったMセンター台地。右手の縦長の建物にロケットのランチャーが格納されており、現在はイプシロンロケットの打上げに使用されている。左手に展示されているのは、M-Vロケットの1号機の実物大模型。

「はやぶさ」の目的地は、はるか彼方の小惑星「イトカワ」。内之浦をロケットの発射場として決めた「日本のロケット開発の父」故・糸川英夫博士にちなんで名付けられた小惑星です。
その「イトカワ」までイオンエンジンを用いた飛行を行い、「イトカワ」の表面の物質サンプルを持って地球に帰還することが大きな目的です。
2004年5月に地球スウィングバイに成功し、2005年11月に「イトカワ」へのタッチダウンに見事成功するのです。

※「はやぶさ」の後継機である「はやぶさ2」は、H-IIAロケット26号機によって種子島から打ち上げられ、コードネームに「MUSES」は使用されていません。
※スウィングバイ:少ない燃料(推進剤)しか積めない惑星探査機が遠くまで行く時に惑星の重力を使って加速する方法。「万有引力の法則」を応用している。

※タッチダウン:短時間の設置、着陸。



2.通信途絶からの復活、エンジン故障からの成功

ここまで、いくつかのトラブルをどうにか乗り越えてきた「はやぶさ」。
しかし2005年12月に、重大なトラブルに見舞われてしまいます。姿勢が安定せず、ついに地球との通信が途絶えてしまったのです。
これによって地球への帰還は、当初よりも3年遅らせた2010年6月へと予定変更を余儀なくされます。

年が明けた2007年1月、途絶していた地上との通信が復活!
しかし「はやぶさ」はボロボロの状態で、さらなるトラブルに襲われます。

「イトカワ」で採取した試料をどうにかカプセルに収納し、再びイオンエンジンを点火して地球帰還の準備に入った2009年11月、エンジンが故障してしまいました。4基あったエンジンのうち、正常に動くのは1基のみ。
帰還は絶望視されましたが、万が一に備えて設置していた電子回路を使うことで、別々のエンジンの部品同士をつなぐことに成功! エンジン2台分の推進力を出すことができ、やっと帰路につきました。



3.3年遅れ、約7年ぶりの地球帰還とラストミッション

日本時間の2010年6月13日。当初の予定より3年遅れの、6年11ヶ月ぶりの帰還。
世界で初めて小惑星から物質を持ち帰ってくる「はやぶさ」に、世界中が注目しました。

大気圏突入の約3時間前、「はやぶさ」は「イトカワ」の試料が入ったカプセルを地球に向けて放出
そして「はやぶさ」に母港である地球を見せようと、地球の撮影が試みられました。川口淳一郎プロジェクトマネージャたちの計らいで行われたラストミッションです。

カプセル放出後のふらつく機体を立て直し、なんとか地球を撮影。そのデータを受信したのは、「はやぶさ」がまさに飛び立った地、JAXA内之浦宇宙空間観測所の34mパラボラアンテナでした。
肝心のデータのほとんどは真っ暗でしたが、最後の1枚は地球の姿をぎりぎり捉えていました。データ送信の最中に「はやぶさ」が山の陰に隠れて通信が途絶したため、写真の下部は欠けています。
「はやぶさ」が燃え尽きる前に最後に見た、地球の姿です。

「はやぶさ」が最後に見た地球

JAXA内之浦宇宙空間観測所の衛星ヶ丘展望台からの眺め。右手に見えるのが「はやぶさ」と最後の交信を行った直径34mパラボラアンテナ。

そして日本時間の午後10時51分頃、大気圏に突入した「はやぶさ」は、バラバラになりながら流星のように輝き、燃え尽きていきました。
翌14日、南オーストラリアのウーメラ砂漠においてカプセルなどの回収が行われ、その後の分析でカプセル内に「イトカワ」に由来する微粒子約1,500個が確認されました。



4.銀河連邦として「はやぶさの日」を制定

毎年6月13日は「はやぶさの日(HAYABUSA DAY)」
2012年5月に、日本記念日協会から認定された記念日です。
「はやぶさ」の開発・運用に関わった人々の「あきらめない心」「努力する心」を伝え続けていくために、そしてその偉業をたたえるために制定されました。

制定者は、JAXAの研究施設を有する5市2町からなる「銀河連邦」
肝付町のほかに、北海道⼤樹町⻑野県佐久市秋田県能代市岩手県⼤船渡市神奈川県相模原市宮城県角田市が加入しています。


5.「世界初」としてギネス認定

2011年、「はやぶさ」は「世界で初めて小惑星から物質を持ち帰った探査機」としてギネス世界記録に認定されました。

からのサンプルを持ち帰った事例はすでにありました。
しかし小惑星は、太陽系誕生の頃の記録をとどめている可能性がある天体なので、小惑星からサンプルを持ち帰る技術「サンプル・リターン」の確立が求められています。「はやぶさ」は、その突破口を開いたのです。

「宙の家」駐車場に設置されている「はやぶさ」モニュメント



6.「はやぶさ」の偉業、3本の映画に

ぼろぼろになりながらもミッションを達成し、大気圏の中で燃え尽きていった「はやぶさ」。
困難な状況に立ち向かい、「絶対にあきらめない」という強い意志を貫き通した関係者たち。
その姿がなんと3本もの映画になり、2011年から2012年にかけて公開されました。

「はやぶさ / HAYABUSA」2011年10月1日公開

・監督:堤幸彦
・出演:竹内結子、西田敏行、高嶋政宏、佐野史郎、山本耕史、鶴見辰吾
・配給:20世紀フォックス映画

「はやぶさ 遥かなる帰還」2012年2月11日公開

・監督:瀧本智行
・出演:渡辺謙、江口洋介、夏川結衣、小澤征悦、中村ゆり、吉岡秀隆、石橋蓮司、藤竜也、山崎努
・配給:東映

「おかえり、はやぶさ」2012年3月10日公開

・監督:本木克英
・出演:藤原竜也、杏、三浦友和、前田旺志郎、森口瑤子、田中直樹、宮崎美子、豊原功補、大杉漣、中村梅雀
・配給:松竹


7.「はやぶさ」をもっと知る! リンク集

肝付町役場HP「小惑星探査機「はやぶさ」」
JAXA HP「日本の宇宙開発の歴史 / 宇宙研物語 – 第9章 M-Vの衛星たち – 「はやぶさ」小天体からのサンプル回収技術に挑む」
NEC HP「チームはやぶさの挑戦 – 第4話「長い旅を支えし者たち」 – 一緒に成長できた幸運、そして最後の運用」
肝付町役場HP「銀河連邦」
JAXA HP「「はやぶさ」ギネス世界記録に認定」
ギネス世界記録HP(英語)「Farthest sample-and-return mission」
つくばサイエンスニュース「ギネスが小惑星探査機「はやぶさ」の成果を認定:宇宙航空研究開発機構」

肝付町役場HP「そうだ、はやぶさの映画を見よう。」
JAXA内之浦宇宙空間観測所 / JAXA Uchinoura Space Center