内之浦のドヤドヤサー / Doyadoya-sa in Uchinoura

肝付町内之浦エリアの伝統行事。
内之浦漁港近くの海辺で、例年1月7日に行われる鬼火焚きの一種です。
近年は七草祝いの子どもたちのお祓いも行われます。

見学は自由ですが、行事の妨げにならないようご配慮ください。

目 次
1.意味と由来
2.3つの特徴
3.竹柱と12本の縄
4.火入れ
5.江戸時代から伝わる行事
6.動画:平成24年度の様子
7.基本情報

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1.意味と由来

新年の飾り物やお守りなどを焚き、その火照りと破竹音で1年の無病息災や大漁、豊作、商売繁盛を祈願する厄払いの意味があります。

また、新年に幸せをもたらすために降りてきた「正月様(年神様)」が、門松やしめ縄飾りの煙に乗って帰ってゆくと伝えられています。
このことから、ドヤドヤサーの火は神聖視されています。

「ドヤドヤサー」の詳しい語源は不明ですが、俳句の季語に、小正月の火祭行事を指す言葉として「どんどん焼き」「どんど正月」があります。
これに敬称の「サー(様)」をつけて呼ぶようになったのかもしれません。


2.3つの特徴

ドヤドヤサーは、近隣の市町村の鬼火焚きと比べると3つの特徴があります。

①真昼におこなわれること(午後2時に火が入ります)
②干支を表す12本の縄で竹柱を支えること
③竹の破裂音に合わせて歓声を上げること


3.竹柱と12本の縄

ドヤドヤサーの中心となる竹柱は、支柱となる3本の孟宗竹を12本のカラ竹で囲んで作られます。
カラ竹の先端はまとめて縛り、そこに大漁を祈願する扇や五色の布、折り紙などを飾り、「天神地祇(てんじんちぎ/てんのかみちのかみ)」を招くのです。
4つの扇で丸い形を先端に作るのは、東西南北の天神・地神を招くためです。

束ねた竹の中ほどから放射状に12本の縄を張り、周囲から引いて竹柱を直立させます。
この縄は干支になぞらえていて、生まれ月ごとに、主に子ども達が縄尻を持ちます。


4.火入れ

竹柱のまわりには、地域の皆さんが持ち寄った正月の神飾りやしめ縄、御札、古物などを積みます。
そして塩・米・御神酒をあげてお祓いをしたあと、七草祝いのお祓いをした地元の子どもたちが火を入れます。

火がつくと竹柱は勢いよく燃え上がり、青竹がはじける大きな音が響きます。
この音と炎の火照りが厄を払ってくれるとも伝えられており、音に合わせて参加者は一斉に「オー」と歓声をあげます。

竹柱を支える12本の縄には1月~12月の木札がついていて、生まれ月ごとに子どもや参加者が持ちます。
竹柱の根元が焼けてゆらぎはじめると、以前は12本の縄がピンと張りつめ、神飾りを得るための12方向の綱引きが始まっていました。
最近は危険をさけるため、海に近いほうに引いて、危なくないように倒しています。

竹柱が燃え尽きて倒れると、飾りや竹笹の争奪戦が始まります。
火にあぶられた竹笹や飾りはそれぞれ家の魔除けに、孟宗竹は輪切りにして貯金筒にする慣わしがあります。



5.江戸時代から伝わる行事

江戸時代から伝えられているドヤドヤサー。
戦前は浦町地区(漁業が盛んだった地区。現在の漁港付近)の正月行事として、上町(うえまち)・下町(したまち)・上向(かんむき)などで行われていました。
上町と下町の会場は現在と同じあたり、上向の会場は小田川河口にあった中州でした。

しかし、第2次世界大戦が開戦した1941年(昭和16年)に中止され、一時途絶えました。

復活したのは戦後のこと。
仲町振興会が音頭をとり、仲町子ども会によって1976年(昭和51年)1月6日、35年ぶりに復活しました。

平成5年には町の無形民俗文化財として指定を受けました。
地元に根差す正月行事として、現在まで町民に親しまれています。


6.動画:平成24年度の様子




7.基本情報

名  称内之浦のドヤドヤサー
(うちのうらのどやどやさー)
日  程例年1月7日
・13:30 祭典(神事)
・14:00 火入れ
会  場内之浦漁港(内之浦漁協市場)のそばの空き地
〒893-1402 鹿児島県肝属郡肝付町南方22−2
主  催肝付町ドヤドヤサー保存会(南方地区振興会)
お問い合わせ肝付町歴史民俗資料館
・TEL:0994-65-0170
文  化  財「ドヤドヤサー」町指定 無形民俗文化財(指定年月日:1993年5月1日)
参考リンク肝付町役場HP「ドヤドヤサー(鬼火たき)(平成5年5月指定)」
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