本町の八月踊り / August Dance in Honmachi

肝付町高山エリアの伝統行事。
例年9月第4土曜日に行われる水神様にまつわる行事で、五穀豊穣と無病息災を祈願します。
夕刻の「鉦踊り(かねおどり)」と夜の「八月踊」からなります。

近年は「裏年」「表年」を毎年交互に設けています。
裏年は集落内のみで非公開として開催され、表年は一般に公開されます。

表年は自由に見学できますが、行事の妨げにならないようご配慮ください。

目 次
1.夕焼けの中で始まる法楽「鉦踊」
2.暗くなってから始まる「八月踊」
3.江戸時代からの伝統
4.伝承のため、門戸を開く
5.川沿いで融合した2つの文化
6.動画:平成30年度の様子
7.基本情報



1.夕焼けの中で始まる法楽「鉦踊」

当日、空が赤く染まる頃に法楽(ふらく)として「鉦踊(かねおどり)」が始まります。
本町の3か所の水神様の祠を、鉦と太鼓の音を調べに歩いて回ります。

各祠の前では円陣を組み、腰に手を当て、鉦と太鼓の音を調べに合わせて歌いながら、足と手のみを動かします。
単純で、儀式的な踊りです。


2.暗くなってから始まる「八月踊」

そして暗くなる頃、道路沿いに立てた櫓のそばで「八月踊」が始まります。

本町の中央の道路沿いに組んだ櫓(やぐら)の上で、三味線や胡弓、太鼓で哀愁を誘うしらべが奏でられます。
とりわけ胡弓の音色は、哀愁いざなう、古式ゆかしいものです。

踊り手は、音頭(おんず=踊り上手)が先頭に立ち、櫓の周りで輪になって踊ります。
踊り歌は14曲ありましたが、現在歌われているのは9曲のみです。
いずれの踊りも、手の振りの中に独特の動きがあり、優美な踊りと音色に魅了されます。

本来の踊り手は16歳~26歳が主ですが、近年は若者が少ないため小中学生や高齢者も参加するようになりました。
男性の踊り手は浴衣に黒い紋付羽織、藺草(いぐさ)でつくった鳥追笠をかぶり、草履を履きます。
女性の踊り手は浴衣に黒帯を締めます。
また中年の婦人はお高祖頭巾に白鉢巻き姿で、顔の両面に金箔銀箔の紙片を下げるところもあります。

※鳥追笠(とりおいがさ):半月型の笠。戦後は丸い管笠(すががさ・じんがさ)も使用した。
※お高祖頭巾:江戸~明治にかけて流行った、女性用の被り物。目のあたりに穴が開いており、布端が前へ長く垂れるようになっている。



3.江戸時代からの伝統

本町の八月踊りは、集落全体の水神様祭りの儀式から発生したものといわれています。
以前は旧暦8月18日に行われていました。

詳細な来歴は不明ですが、古くは江戸時代までさかのぼります。
1671年(寛文11年)の春、高山用水路(新富)工事が竣工し、石高2,000石が開発されました。
その新溝記念碑が建立された際に、踊りが奉納されたと伝えられています。

ほか、開田や用水路竣工祝、豊年祭、慰霊、安泰祈願などの諸説があります。
祈願祭や感謝祭である側面と、若い男女の出会いの場であったなど、社会的な意義ももっています。

戦時中は中断されましたが、昭和20年代半ばに再開されました。


4.伝承のため、門戸を開く

以前は、本町の八月踊りを踊ることができるのは本町の人間だけとされていました。
しかしこの慣習は、後継者不足という深刻な問題の原因でもありました。

これに対して、本町八月踊り保存会は2008年(平成20年)6月、「本町振興会にこだわらず、踊り手や楽の奏者の習い手を町内から広く募集する」という決断をします。
長年の慣習よりも、踊りを伝え残すということを選択したのです。

そうして踊りや楽器演奏の講座を開き、外部からの参加者を募集するようになり、今日まで受け継がれています。


5.川沿いで融合した2つの文化

八月踊りは、かつては肝属川沿いの70以上の地で踊られていました。
上流に向かうほど地域に伝え残る唄の数が少ないことから、起源は肝属川の河口にあたる波見地区や柏原地区ではないかという説があります。

各地に伝わる八月踊りの共通の特徴は、手首の返しに見られる「南方系の優雅な手の動き」と「唄に出てくる上方(大阪)文化」です。
また歌詞には、当時表立って歌うことを禁じられていた赤穂浪士(忠臣藏)の話なども出てきます。

その昔、高山エリアの波見港と柏原港は、琉球や現在の大阪との交易の拠点として繁栄していました。
琉球に伝わる優雅な手の動きと大阪での流行り唄が、ここ肝属川のほとりで融合し、各地へと伝わったのかもしれません。

また川沿いの地域にだけ伝わったのは、開田を行う上で水路などを整備しやすい環境であり、その整備の記念に取り入れていったためではないかと考えられます。


6.動画:平成30年度の様子




7.基本情報

名  称 本町の八月踊り(ほんまちのはちがつおどり)
日  程 例年9月第4土曜日
※2020年は表年でしたが、新型コロナ対策として中止となりました。
会  場 本町集会所
お問い合わせ 肝付町歴史民俗資料館
TEL:0994-65-0170
文  化  財 「本町の八月踊」県指定 無形民俗文化財(指定年月日:1962年10月24日)
参考リンク 肝付町役場HP「本町の八月踊り(昭和37年10月24日指定)」
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