【きもつき情報局】きもつきに中国人留学生がやってきた!(前編)

「鹿児島県立短期大学の中国人留学生が中国語で鹿児島の魅力をブログ(「中国人留学生眼中的鹿児島」)で発信」――今年5月中旬、地元紙に掲載されたこの一本の記事がご縁となり、きもつき情報局ではこのたび同大学の中国人留学生と日本人学生を大隅半島に招待することになりました。
「きもつきレポート」ではこれから2回にわたり、学生たちの大隅初訪問の模様を詳しくお伝えします。
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みんなで「はい、チーズ!」(吾平山上陵にて)
そもそも彼らを招待することになった背景には「鹿児島の魅力を発信するといっても、おそらく彼らの頭の中にあるのは薩摩半島が中心に違いない。それではいけない。大隅半島もぜひ見てもらわなければ」という思いがあります。
記事を読んでからすぐに短大の先生に連絡し、大隅に招待したいと伝えたところ、先生からは「ぜひうかがいたい」という前向きな返事が届きました。でも、すぐに訪問が実現したわけではなく、忙しい学生たちのスケジュール調整もあって実際のツアー実現までは少し時間がかかりましたが、小雨がぱらつき少々肌寒い11月30日、ついに留学生3名、日本人学生6名の9名からなる一行が大隅半島を訪れることになりました。
錦江湾に厚い雲が広がる、あいにくの空模様の下、学生たちを乗せた9時50分垂水港着のフェリーが予定より15分ほど遅れて到着しました。軽くあいさつを済ませた後、全員が肝付町のバス「はやぶさ号」に乗り込みます。
さぁ、いよいよ大隅の旅の始まりです。
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学生たちを乗せたフェリーが到着しました
バスが出発すると早速、簡単な自己紹介をひとりずつしてもらいました。日本人学生6名のうち一人は大隅半島出身者でもう一人は小さい頃に住んでいたということでしたが、そのほかの4名は県内出身者ながらも大隅地方を訪れるのは初めてです。もちろん、今年来日したばかりの留学生3名にとっても初めての訪問です。
だとすれば、責任重大。今回の旅の結果で、彼らの大隅の印象が決定づけられるわけですから……しっかり案内して、ぜひ大隅のファンになって帰ってもらわないといけません。
まずは鹿屋市古江町にある荒平天神に向かいます。垂水港から近く、現役の学生であるみなさんに学問の神様、菅原道真をまつるこの神社をぜひ参拝してもらおうと思ったからです。依然として空には厚い雲がかかっていますが、澄み渡る初冬の海に「きれい」と参加者の歓声が上がります。まずは海の美しさに感動してもらえたことが、案内役としてはとてもうれしいです。
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荒平天神に到着です
地元の方ならご存知だと思いますが、この荒平天神は、映画「チェスト!」が撮影された場所でもあり、その映画にはNHKの朝の連続ドラマ小説「ゲゲゲの女房」のヒロインだった女優の松下奈緒が出演していたことでも知られます。そのことを説明したところ、中国でもこのドラマの放送があり、留学生の一人、李東霞さんは見たことがあるといいます。
砂浜に立つ鳥居をくぐり、海に突き出した岩の上にある社殿へと向かいます。社殿へと続く階段は狭くて急です。でも、それだからこそ何か特別な場所のような気がしてきます。留学生も日本人学生も、そのめずらしい場所に建つめずらしい神社でしっかりお祈りしていたようですが、いったい何をお願いしたのでしょうね。
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けっこう急な階段です
次に向かったのは、大隅半島最大のパワースポットと呼べる鹿屋市吾平町の吾平山上陵です。静かに流れる川に沿って参道が伸び、盛りを少し過ぎてしまったとはいえ、美しい紅葉の風景が広がっています。その美しい風景の中で、学生たちは足を止めて盛んにシャッターを切っていました。
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みんなを美しい紅葉が迎えてくれます
途中、敷地の中を流れる川に続く石段で1分間だけ目を閉じて、周囲の音に耳をすます時間を設けてみました。普段忙しい生活を送っている彼らにスローダウンしてもらい、自然のリズムに心とからだを合わせてもらおうと思ったからです。
石段にたたずみ、目を閉じて静かに聞き耳を立てる学生たち――彼らの耳に、川のせせらぎの音や野鳥のさえずりなどがやさしく響いてきます。心なしか、目を開けた学生たちの表情が少しやわらかくなったような気がします。ほんの短い時間ではありましたが、吾平山上陵独特の包み込むようなパワーに彼らの心が呼応したのかもしれません。
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とにかくスローダウンしてみましょう
ちなみに、参拝をすませて戻る道すがら留学生たちとの会話の中で、中国語に「パワースポット」に該当する言葉があるのかたずねてみたところ、そのような言葉はないことがわかりました。いつもエネルギッシュな中国人にそもそもパワーは必要ないのでしょうか。それでも留学生の孫冰さんは「なにかパワーを感じます」と神秘の力を実感したようです。
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まさに神秘的と呼べる光景が広がっています
気づくと、敷地内にある橋のたもとで薛超月さんがしゃがみこんで何かを拾っているのが目に入りました。何を拾っているのだろう――近づいて確認すると、それはどんぐりでした。彼女からの「食べられますか」との質問に、「食べようと思えば食べられるけれど一般的ではない」と答えると、「中国ではこれと似たようなものを食べます。おいしいですよ」と教えてくれました。
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薛さんが拾ったどんぐり
本当はもっとゆっくり見てまわりたかったのですが、ほかにも行くべきところがたくさんありますので、そろそろお別れです。滞在時間が30分少々だったにもかかわらず、みんなは自然に囲まれた幻想的な吾平山上陵の雰囲気にすっかり魅せられた様子です。「また機会があれば、友達を連れてきたい」と再訪を考えている学生もいるほどでした。
吾平山上陵の次は、いよいよ地元、肝付町です。
(次回に続く)
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