肝付町地域包括支援センターが主催する「平成25年度第1回在宅ケアを支える会」が5月15日、コミュニティセンターで開催されました。
だれもが地域で安心して暮らせるまちづくりの一環として、さまざまな職種の人々が連携して在宅ケアに取り組めるようにすることを目的に開いたもので、町内を中心とした40の事業所から医師や看護師、薬剤師、理学療法士、ヘルパー、ケアマネージャー、福祉施設関係者などおよそ90名が参加しました。
参加者でいっぱいになったコミュニティセンターの研修室
同会では鹿児島県垂水市出身で、長年にわたり長野県の小村で在宅医療にかかわり、現在、垂水中央病院在宅療養支援部の部長を務める医師の池田忠さんが「垂水市における在宅療養支援の展開」と題して、多職種連携を推進するための取り組みについて講演しました。
池田さんは講演の中で垂水市が行ったアンケート調査をもとにして、「最期の場所」として在宅を希望する高齢者は約80%いるものの、医療系の在宅サービスがないことに不安を感じているという結果が出たことなどを例に挙げながら、高齢者が地域で暮らせるようにするには、保健、医療、福祉、介護の壁を越えた連携・協働が必要と指摘しました。
また、本来、誰にでもできたはずの介護に専門性を持たせるようになったため一般の人による介護ができなくなったことや病院で行われている医療をそのまま家庭でも行わせようとすることが、在宅ケアを難しいものとしていることなどを挙げ、現状での問題点について説明しました。
ユーモアを交えつつ講演する池田さん
さらに、多職種の連携にあたっては、QOL(生活の質)の向上を目標に、医療関係者やヘルパーなどそれぞれが専門家として各ケースに対する課題を見つける必要があり、さらに互いの課題や業務内容について理解し、情報を共有することが大切だと強調しました。
最後に池田さんは「今後、人口が減っていくのは間違いありません。高齢者が地域で暮らせるようにいかにしてセーフティネットをつくるかが人口流出を防ぎ、地域を守ることにつながります。ここ数年が大事なとき。地域を生かすためにも連携が必要です」とあらためて多職種の連携を呼びかけました。
同会に参加した、小規模多機能ホーム「南の空」に勤める宇都山淳子さんは「『医療を家庭に持ち込む』ということが在宅ケアの妨げになっているとは気づいていなかったので、勉強になりました。専門職として課題を設定するということが自分のなかであいまいになっていたので、これからはそれを意識しながら利用者に接し、他の職種の方々との連携もうまくできるようにしたいです」と語っていました。
懇親会で自己紹介する参加者
講演が終わった後は別室に移り、懇親会が開かれ、食事をとりながら自己紹介したり、情報交換をしたりしながら、連携の第一歩として交流を深めていました。
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