【きもつき情報局】日本独自のアート復活で地域を元気に

公益社団法人企業メセナ協議会代表理事専務理事で、長年にわたり企業や自治体の芸術文化振興に携わっているアートプロデューサー・加藤種男さんによる「タネCafé at 肝付町」が肝付町コミュニティセンターで8月2日、開催されました。
 
「タネCafé」は地域づくりなどについて加藤さんが参加者と語り合う座談会で、今回は肝付町川上在住のアーティスト、JOUさんと松本充明さんが発起人となった「おおすみ-かごしま芸術祭2013」の一環として開かれたものです。
 
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参加者に語りかける加藤さん
 
はじめに加藤さんは「鹿児島ではいいづらいことですが」とことわったうえで、薩摩藩をはじめとする諸藩の下級武士が活躍してつくりあげられた明治維新政府が、伝統的な日本文化を破壊する役割を果たしてしまった可能性があることを指摘。主に下級武士の間で重んじられていた勤勉さと真面目さを評価する儒教の倫理観が西洋からもたらされたプロテスタントの精神とあいまって、それまでの日本に普通に存在していたユーモアや諧謔(かいぎゃく)といった文化的伝統を台無しにしてしまったのではないかと参加者に問いかけました。
 
そして、郷土芸能や祭りが禁止されるという形での伝統文化の断絶、廃仏毀釈による文化財の破壊などが起こった結果、「遊び暮らすことに長けていた日本人からユーモアを欠落させてしまった」と解説しながら、日本に再び活気を取り戻すための方策として「もう少し余裕のある豊かな社会になるために、これからはもう一度、ユーモアや遊びというものを思い起こす必要があるのではないか」と提唱しました。
 
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熱心に聞き入る参加者
 
さらに、地域活性化をはかる上で「コンパクト経済」という概念を紹介。その特徴として「生産と販売の一体化」、「地産地消」、「小規模生産」、「Face to Face(対面式)での販売・顧客管理」を挙げて、その場で演じてその場で消費(鑑賞)するアートがコンパクト経済の最たるものであると指摘しました。
 
その後、会場からの質問に答えて芸術を核とした地域活性化の例として新潟の「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」や「瀬戸内国際芸術祭」を紹介しながら、地域に残る芸能、歌や踊りといった身近なものもアートであり、そうしたものを保存、発展させていけばお金をかけることなくアートを媒介とした地域の活性化は可能であるとの見解を示しました。
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