目の前に美しい海が広がり、背後には国見の山が迫る海沿いの地区、肝付町有明で8月7日、地域住民が集まったサロンが開かれ、外部からの訪問者も含めて40名ほどの参加者がそうめん流しや歌や踊りを楽しみました。
独居老人を孤立させないために
平成22年から始まった有明サロンは、主に地域内のお年寄りを対象に月1回のペースでさまざまな活動をするというもので、代表の仮屋幸(かりや みゆき)さんによると、現在34名がメンバーになっており、毎回25名ほどが活動に参加しています。
サロンが開かれる有明地区公民館
「ここは一人暮らしのお年寄りが多いですから毎月、食事会を開いています。お年寄りができるだけ長く地域で暮らしていけるように、そして病院や介護施設などの世話にならなくてもすむように活動を続けています」(仮屋さん)
今回の活動には肝付町社会福祉協議会や地域包括支援センターの担当者のほか、波見(はみ)や論地(ろんじ)といった地区からもそれぞれの地区のサロンのメンバーが参加し、有明の人たちとの交流を楽しみました。
午前11時過ぎから始まったそうめん流しでは、地元産の竹を割ってつくった水路にそうめんを流し、同じく竹を切ってつくった容器につけ汁とねぎとしょうがを入れて、戸外でおいしいそうめんをみんなで味わいました。そうめんに加えて、お手製のおにぎりもあります。
竹製の水路にそうめんが流されます
久しぶりのそうめん流しに有明のお年寄りもうれしそうです。流れてくるそうめんを盛んに箸(はし)ですくい上げて食べていました。
みんなおいしそうに食べています
そうめん流しが終わると、有明以外からやってきた「お客さん」には地元のごちそうがふるまわれました。
見ても食べてもすばらしい手づくり団子
けせん団子をはじめとする数種類の団子に加えて、サロンの代表を務める仮屋さんの出身地である奄美大島から送られてきたというモズクを使った酢の物、そして夏休みで大阪から有明を訪れているという仮屋さんの孫にあたる中学生が焼いてくれたたこ焼きなどもふるまわれました。
有明のお年寄りパワーに脱帽
お腹いっぱいになったところで、いよいよサロンのメインイベント、歌と踊りの始まりです。
最初にみんなで「幸せのワルツ」などの替え歌を合唱した後、今回集まったメンバーの中で最年長、89歳の谷山キミ子さんが演歌歌手、氷川きよしの歌を独唱、歌い終わると全員から拍手喝さいを浴びていました。キミ子さんはちょっと恥ずかしいのか、両手で顔を覆ってしまいました。
元気に歌うキミ子さん
みんなからの拍手喝さいがちょっと恥ずかしそうです
その後は歌と踊りの大宴会状態です。特にパワー全開だったのが今年9月で79歳を迎えるという一松アイ子さん。テーブルを勢いよく両手でたたきながら、大きな声で歌を歌い始めると、まわりにいた人たちが踊り始めます。ものすごいエネルギーです。
元気いっぱいのアイ子さん
アイ子さんの歌に合わせてみんなが踊りだします
この日の活動に参加した肝付町社会福祉協議会の宇都千津美さんによると、町内に30カ所ほどあるというサロンの中でも有明のサロンはトップ3に入るくらいに活気があり、個性派ぞろいとのことでした。
歌い終わったアイ子さんに感想を聞いてみると、「お父さんが亡くなってから一人暮らしなので、さびしくなってはいけないと思って、家の中で歌ったり、運動したりしています。自分で歌をつくったりもしています。こうやってみんなの前で歌ったり、踊ったりするのは楽しいですね」とサロンの開催を毎月心待ちにしている様子です。
こうしたサロンの存在が地域のお年寄りにとって一つの大切な生きがい、そして長生きの源になっていることは間違いなさそうです。
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