数々の古墳群で知られる肝付町塚崎の畑で5月21日、南九州特有の埋葬方法である地下式横穴墓から保存状態が極めて良好な古代人の人骨が発掘され、関係者や町民の間で話題になっています。
塚崎の発掘現場
今回見つかった人骨は、今から約1500年前の古墳時代のもので、発掘作業を担当する鹿児島女子短期大学の竹中正巳博士は、「年齢に関しては歯のすれ具合から、性別は眉間の出っ張り具合で判断します。それらを踏まえて40代の男性であることがわかり、身長はこの時代の平均身長158センチに近い、約155センチです。また顔には、赤色顔料が塗られており、それが沈着して頭蓋骨も赤く染まっています。これは魔除けや死に化粧の意味が込められていたと思います」と解説します。
発掘された古代人の人骨
また、その地下式横穴墓の玄室には、人骨とともに鉄製の矢尻8点と小刀1点が副葬されていて、ある程度の地位にあった人物だったとのことです。
このように保存状態の非常に良いかたちで見つかった人骨は、大隅地域では、これまでに10体発掘されていますが、発掘を主導している県立埋蔵文化財センターの担当職員によると、今回見つかったものは、その中でも極めて状態が良いということでした。
さらに、肝付町ではこのような状態で発見されたのは初めてで「全身がわかる状態で見つかったものとして考えれば、最古のきもつき人です。貴重な研究資料になることでしょう」と、同職員は喜んで話してくれました。
玄室の中で作業する竹中博士
またその二日後の23日には、近くの波野小学校6年生13人が見学に訪れ、職員から説明を受けながら人骨を穴の外から見学しました。寺園彩生(さき)さんは「社会の教科書で見たことはあるけど、実際に見るとやっぱりすごいです」と、初めて目にする古代人の人骨に驚いた様子です。
発掘現場を見学する波野小の児童たち
人骨は5月31日に玄室からの引き上げられた後、県立埋蔵文化財センターに運んで解析されることになっています。
竹中博士は「頭部は玄室の天井落下により、破損してしまいましたが、これを継ぐことで、顔つきがわかってきます。それにより、この地域の古代人が渡来系や南洋系など、どの流れをくむ人々であったのか解明につながることが期待されます」と語り、今後の解析に胸を躍らせていました。
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