【きもつき情報局】里山に伝わる元日の伝統行事(2015年)

肝付町後田地区の片野集落に伝わる伝統行事「コタコン」が1月1月に行われ、子どもたちが元日の夕方6時半ごろから集落の家々を回り、手づくりの杵(きね)を打ち鳴らして家内安全、五穀豊穣を願いました。
 
杵を叩いて家内安全五穀豊穣を願う子どもたち
 
この伝統行事は、元日の晩に子供たちが家の軒先に置かれた臼(うす)や丸太などを杵でたたき、そのリズムに合わせて独特の節回しで歌を歌い、集落をまわるもので、もともとは年末に逆さにされたり、ふたをされたりしていた各家の臼を正月に起こしてまわることが起原とされています。
 
片野集落にとって正月の風物詩となっているそんなコタコンですが、今回から行事の担い手である小中学生がいなくなり、存続の危機にあったそうです。そこで、これまで親子会主催で行っていたものを振興会行事にし、担い手を帰省中の子どもたちにして存続させたという経緯がありました。
 
集まった子どもたちは県内外から帰省中の小学生から大学生まで全部で11人です。午後1時ごろから集会場に集まり、本番に使用する杵をつくっていきます。
 
手づくりの杵
 
この杵は松の木を材料に毎年つくりかえています。それを20本ほどつくり終えたら、いったん解散し、午後5時半ごろに再び集会場に集合して歌の練習をします。この歌詞は精霊となった子どもたちが「ここは分限者(金持ち)。カネはザクザク」と各家をほめたたえているのだそうです
 
コタコンの歌詞
 
歌の練習を終えて、辺りが暗くなり始めるといよいよコタコンがスタートします。今年は集落の35、6戸を約3時間かけてまわる予定です。一行は各家の戸口に到着すると「こんばんは、臼をおこさせっくいやい(起こさせてください)」と大きな声で呼びかけます。
 
戸口から声をかける子どもたち
 
すると中から家の主人が「大きな声で歌って元気な姿を見せてください」と返事を返し、臼おこしがスタートします。子どもたちは、軒先に準備された臼や臼に見立てた大きな丸太などを歌に合わせて叩き、「コンコン」という軽快な音色を辺りに響かせていました。
 
なかには本来のスタイルで臼を返している家もあって、臼の下に餅やみかんなどが置かれているところもありました。
 
本来のスタイルである臼をたたく子どもたち
 
休憩をはさんで集落をまわり終えると各家でふるまわれた餅やみかん、祝儀などを子どもたちでわけて、元日の伝統行事が終わりました。
 
年配の住民によると、昔は子どもたちだけで泊まり込みで行っていて、本来であれば元日の夜から2日の深夜にかけて集落をまわっていたそうです。臼を返している家も少なくなるなど、コタコンのスタイルは簡素化されてはいますが、それでも「今年も無事にコタコンができてよかった」と集落の住民は安堵の表情を浮かべていました。
 
父親が片野集落出身で鹿屋市から参加した小学生の女の子は「今回で3回目の参加です。コタコンがなくなるのはさびしいので、これから先も参加していきたいです」と話していました。
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