蘭渓道隆の坐像を模した石像や事跡を記した石碑などからなる記念モニュメントの開眼法要が建長寺(鎌倉)の吉田正道管長によって10月9日、肝付町本城地区の同寺跡で執り行われました。
開眼法要が行われたモニュメント
8月に完成したこのモニュメントは、明治の廃仏毀釈で荒れ果てた道隆寺の整備に尽力してきた福谷平さんが私財を投げ打って建立したもので、長年にわたって続けてきた整備作業の集大成として強い思いが込められています。
そのモニュメントの完成報告を道隆寺跡に度々訪れている吉田管長にしたところ、「ぜひ開眼にまいりたい」と申し出があり、今回の法要が実現しました。
この道隆寺は南宋から日本にやってきた蘭渓道隆という禅僧が1246年(寛元4年)に開いたものです。蘭渓道隆はこの後、鎌倉に渡り、7年後の1253年(建長5年)には建長寺を開山しています。道隆寺の存在を調査によって知ることとなった建長寺関係者らは平成21年から交流を始め、互いに行き来をするようになりました。
この日、建長寺関係者一行を出迎えたのは福谷さんをはじめとした関係者ら。到着してあいさつを交わすと、そのままモニュメントまで移動し、若い僧侶2人をともなって読経をはじめました。
モニュメントの前で読経する吉田管長ら
厳粛な読経と鉦の音が響きわたり、格調高い雰囲気があたりに広がります。
読経が終わると、敷地内にある肝付氏や僧侶の墓などに向け、読経しながら歩きまわりました。
参列した地元の関係者は「こんなにありがたいことはない。ここに眠られている方々もさぞ喜んでいることでしょう」と口々に話していました。
敷地をまわりながらの読経
式が終わると、そのまま集落の集会所に移動し、手づくりの郷土料理や郷土菓子などを囲んで交流会が開かれました。
モニュメントの前で記念撮影
吉田管長は「整備に関わった方たちはとても実直。訪れるたびにそう感じます」と感心し、福谷さんは「わざわざ鎌倉からお越しいただき、大変ありがたいことです。770年を記念したモニュメントに魂が入ったことで、よりいっそう建長寺との絆が深まったような気がします」と話しました。
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