【情報局】里村の奇祭テコテンドン!体験レポート(後編)

【山頂目指してレッツゴー!】

出発するやいなや猪の頭骨を発見してテンションMAXの万里くん。

万里くんは北海道から移住してきた坂田さん一家の息子。りんさん(万里くんのおねえちゃん)も全力ダッシュで駆け寄るなど、足元が悪い山道でも元気いっぱいです。

一方で異変は既に起こっていました。出発直後に菊池さんの足が止まっていたのです。

橋野「無理しないで。休憩しましょう」

ベテランらしく落ち着いてペースを下げる橋野さん。前方の集団に遅れることを知らせ、自分が最後尾を行く事を決めると、万が一に備えて撮影中の私(観光協会 平田)と三名同時に移動することに。さらに菊池さんの靴の状態を確認して持っていたポールを菊池さんに差し出します。

橋野「頑張りましょうね」
菊池「はい….脱落だけは….したくないです….」
橋野「でも、ちょっと速いような気がする。ペース、上げすぎてないかな」

それはベテランの直感なのか。実は….

菊池「はあ….はあ….何が温泉入りましょうだぁぁぁ….おのれ米蔵くん….」

米蔵さんへの恨み節を糧に変えて頑張る菊池さん。しかし待ち受けるのは無情な山道。

菊池「私をこの祭りに案内しておいて….リサーチが全然足りてないじゃないのよおぉぉぉ….」

その米蔵さんは遥か先。もはや声も聞こえません。そして襲い掛かる急勾配。それでも何とか休憩地点の巨岩に到着。しかしそこに人影はなく、皆さんは休憩を終えて出発した後。

後日、編集中に判明するのですが、実は橋野さんの言う通り例年よりもペースが速かったのです。スタートはいつもより10分ほど遅くなっていました。しかしこの休憩ポイントへの到達時間はほぼ一緒。それも最後尾の私たちの到達時刻であり、つまりは私たちでさえも例年より速かったのです。

菊池「脱落してたまるかあぁぁぁ….」

気合を入れて立ち上がる菊池さん。しかしこの休憩ポイントは中間点でしかないという事実。それでもなお歩もうとする菊池さんの前に立ちはだかる驚異的な急勾配は権現様の神威か。

菊池「あああああ! よねくらあああ!! (もはや呼び捨て)」

【山頂に到達】

11時30分、先頭グループに遅れる事およそ30分で山頂に到達。
ただし菊池さんの名誉のために書いておきますが、11:30に山頂到達というのは予定ピッタリの時刻なのです。そしてそこでは既に餅が焼かれていました。

なぜか浮かない顔の女子高生ですが、どうやら彼女、神社の裏山に登る程度と騙されて付き合わされたらしく….そりゃ機嫌も悪くなるよね….

ここで解説。

テコテンドンは神幸祭、つまり神様に何か(依代)に移っていただいて山を下りなくてはいけません。そこで柴を使った人形である「神籬(ひもろぎ)」を用意し、そこに移っていただくのです。ちなみに材料となる榊はその場で採取したものでなくてはならず、加工もその場で行われます。

神様に依代に移っていただき、神事は完了。今度は皆で巨石の上へと向かいます。

一体、何百トンあるのだろうかという巨岩を回り込み、岩のてっぺんを目指します。

てっぺんは僅か数メートル四方で想像を絶する高さの断崖。それでも参加者たちは果敢に頂点に立っていました。

【下山開始】

山頂での作業を終えて下山開始。が、ここでハプニングが。

上薗「しもた! いかん!」

突然に響いた上薗さんの声に立ち止まる全員。なんと最後の礼を忘れているとの事。まだ巨岩の近くにいた人は岩に向かって、距離がある人はその場で深く一礼。

登りとは打って変わってハイキング気分で降りていく一行。と、そんな中で最後尾の人が何かを。

そう、これは目印。次に登られる方々の為に目印をつけているのです。

【中岳での御祭りと休憩】

下山の途中で中岳の神社に立ち寄ります。神社と言っても天然の岩なのですが、実はこの場所にはかつて民家もあり、祠も建てられていたのです。しかし大水害によって巨石に押し流されてしまい、今は住む人もありません。

それでもテコテンドンでは今もその場所に神様がおられると信じて山の安全を祈願します。ここで参加者全員に神垂(しで)が渡され、神籬に結び付けられます。さらに太鼓の準備。そしてテコテンドンと言えば歌と太鼓。「テコテンドン オー ソーライソーライホー」と、上薗さんの歌と坂田父子の太鼓が山々に響きます。

【平田神社に到着】

午後3時、予定よりも早く平田神社に到着。出迎えて下さったのは神主の上薗久美子さんと氏子の皆さん。その神主さんに神籬を手渡して到着の儀式を開始しました。平田神社の周囲を左回りに3回、右回りに3回、神歌を歌いながら回ります。

神様に御着座いただいて還幸帰山祭。皆さんそれぞれに心の中で神様に祈願します。

と、神事の最後に向かって左手(北岳方向)の戸を開け放つ松永さん。何をするのかな、と思いきや、

松永「皆様が山頂からお連れ下さった神様ですが、帰りは ビュン と、飛んで戻られます」

その瞬間を撮影する間もなく終わりをつげる神事。令和5年1月2日 午後3時40分 テコテンドンは無事に終了いたしました!

【その後….】

写真こそありませんが、毎年恒例だという御茶会が拝殿で開かれました。無事に、そして思った以上に楽しく賑やかなお祭りに大喜びの神主さん。しかしそこでコソッと姿を消そうとしている松永さん(集合写真の一番右手前)が。

何だろうと思って話を聞くと、無言でニヤリと笑って御猪口をクイッとする仕草。正月早々、お酒も飲まずに準備と神事。本当にお疲れ様です。

一方で菊池さんはすっかり元気になって米蔵さんに文句タラタラ。

菊池「リサーチぐらいしっかりしてよね! 温泉探して! 温泉!」
米蔵「湯の谷温泉に電話してみましょう」

しかし電話には誰も出てくれず….

以上を持ちまして、本年のテコテンドンはすべての日程を終了いたしました。

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