町屋の面影を今なお残す肝付町の本町地区。そんな哀愁ただよう地域に伝わる民俗文化、本町八月踊りが9月27日、同地区の集会所で開催されました。
近年の本町八月踊りは、着物に身を包んだ踊り手が大通りに設置された櫓を中心に輪になって踊る「表年」と衣装は自由で櫓を設置しない簡易型の「裏年」を交互に行ってきました。
今年は昨年に続き簡易開催の「裏年」の形式となりましたが、保存会会長の下西龍太郎さんは「月一回のお囃子の練習などを経て、若い世代へ技術の継承が進みました。踊り手も上達しました。伝統を継続していくための準備が整ったと感じています」と、来年の表年開催に期待を持たせました。
当日は、日が暮れ始めた午後6時頃、鉦の音に合わせて男衆が法楽を行うために集会所を出発しましたこれは地区内3か所に祀られる水神に奉納する鉦踊りで、八月踊りの前に行うことが習わしとされています。
午後7時を過ぎた頃、奉納が滞りなく終わり、集会所の広場に設置された櫓代わりのテントから三味線と胡弓、太鼓のお囃子が始まりました。その音色に引き寄せられるように地域の人たちが集まってきます。
「出端」という演目で、集まった順に輪をつくり踊りに参加していきます。それから「五尺」「一ツとの」「お久米句読」「思案橋」の4曲を、休憩を挟んで「万次郎句読」「おはら万女」「平佐句読」「船頭衆」の4曲を踊り、秋の夜長を楽しみました。
町学芸員の清田祥之さんは「少子高齢化で全国各地の伝統行事の存続が危ぶまれている時代です。そんな中、本町の八月踊りでは、今回から唄い手や楽器の担い手が増えており、伝統の保存継承がされていると感じました。町としても協力させていただき、これからも伝統を存続させていってほしいと思います」と話しました。
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