【きもつき情報局】踊りが生み出す新しい地域おこしの形

この夏、大隅地域の2市2町で「おおすみ夏の芸術祭2012」を主催したコンテンポラリーダンサーのJOUさんと視聴覚作家の松本充明さんが、今度は居住地の肝付町川上地区でちょっと変わった案内所を立ち上げました。
名づけて「おおすみ踊る地域案内所」。国の登録有形文化財に指定されている木造校舎で知られる川上中学校(現在休校中)の体育館を舞台に、「アート✕地域おこし」の実験的試みがスタートすることになったのです。
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くす玉が割れて案内所が正式にオープンしました
具体的には、今年(2012年)12月から来年(2013年)1月にかけて週4日間(日、月、木、金)、同体育館でJOUさんが踊りの稽古を一般公開します。また、1月13日から27日の期間中はフランスから特別ゲストとしてダンサーのルイ・クレモン・ダ コスタさんが加わり、二人の練習風景を一般の人が見学できるようになります。
要は、今回の「実験」を通して、川上地区に新たな人の流れをつくりだそうということです。
川上地区には外部から人を呼び込める施設として「やまびこ館」という物産館がありますが、毎日営業しているわけではありません。そこに目をつけたJOUさんたちが、同館の休館日に合わせて案内所を開くことで、人の流れを持続させようと考えたわけです。いわば同館の補完的役割を果すことも狙いのひとつといえます。
12月2日には同案内所の開所式が行われ、冒頭、川上地区の4集落の代表によるあいさつや来賓として招かれた永野和行・肝付町長のあいさつがあった後、主催者のJOUさんから次のような説明がありました。
「私の踊りは型にはまったものではなく、自分のそのときの感情や思いを自由に表現するというものです。それをどう受け取るかは、見る人の感性で違ってきます。つまり、一人ひとりの表現や受け止め方は違ってもいいのです。地域おこしも同じだと思います。川上には4つの集落がありますが、それぞれが違っていていいのです。いろいろな個性が集まって一つの共和国のようになる。それが川上の調和につながり、それが広がっていって肝付町の調和、そして大隅地域の調和につながっていけばいいのです」
そうした考えを実際に表現したのが、その後に行われたJOUさんとクロアチアのザグレブで活躍するプロのバレリーナ、玉川智美さんによる踊りでした。
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体育館の中で華麗に舞う玉川智美さん(手前)とJOUさん
松本充明さんの演奏する、なんとも西洋的で神秘的な音楽に合わせて二人の踊り手が自由に、自分の身体をつかって、それぞれの思いや感情を表現します。ときには鳥のように軽やかに舞ったかと思えば、次の瞬間には地面をはいつくばる重々しい動きがあったり――二人は音やその場の雰囲気から受けるインスピレーションをもとに踊り続けます。
それぞれの動きは自由ですが、お互いがお互いの動きに刺激を受け、ときには相手の動きに自分の動きを合わせて、全体としての調和が保たれています。
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二人の踊りを不思議そう?!に見つめる観客
そこに集まった地元を中心とする人たちにとって、そうした踊りを見るのは初めての経験だったのでしょう。踊りの後に感想を聞かれた高校生の中には「なにを表現しているのか、わかりませんでした」と「正直な」コメントをする生徒もいました。
それでも、二人の踊りから「自分の思いや感情を自由に表現する」ことがどういうことなのか、また「答えは決してひとつではないのです」というJOUさんの言葉の意味をたとえわずかだったとしても、理解するための何らかのヒントを見て感じとったのではないでしょうか。
個々人が自由に踊り、それが全体として調和を保つ――踊りと地域おこしの共通点を説くJOUさんたちの新しい形での試みはこれからしばらく続くことになります(1月27日にはクロージングイベントが予定されています)。
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二人の踊りに音でコラボする松本充明さん
お時間のある方はぜひ、川上中学校の体育館まで足を運んでみてはいかがでしょうか。あなたにとっても、何らかの新しいインスピレーションが得られるかもしれませんよ。
※「おおすみ踊る地域案内所」の詳しい説明はこちらにあります。
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