【きもつき情報局】「幻の滝」金滝を求めて(2012年)

地元の人でも知っている人はごくわずかという「幻の滝」金滝。
この滝があるのは、国見山の山中です。ただし、山の中といっても、それほどアクセスが悪いわけではありません。肝付町高山地区と内之浦地区を結ぶ国見トンネルを高山側から上っていって、トンネルの左手前につくられた道路を少し上ったところに入り口があります。ちなみに、この道は国見山山頂付近のレーダー雨量観測所につながっています。(地図は記事の最後にあります。)
ただし、入り口付近に設けられた木製のプレートが示しているのは「万滝入り口」。そこはあくまで町の地図にも載っている万滝の入り口であって、金滝への入り口でもあるという事実を把握している人はほとんどいないといっていいでしょう。から町民も知らない「幻の滝」なのです。今回は、肝付町後田(うしろだ)に住む農業、平野利昭さんの案内で金滝を目指しました。
車を道路脇に停めて山の中に入って行くと、普段は人が通らないために道らしきものはありません。平野さんのあとについて、ひたすら山中を歩いていきます。
リュックのほかにカメラ機材を持っているので、木の枝が伸びているところや急勾配のところでは難儀します。上ったのは11月の初めで山の中は少しひんやりとしていますが、身体中から汗が吹き出てきます。けっこうしんどいです。
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山の中にはこうした美しい光景が広がっています
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このとおり勾配がきついところもあり、楽ではありません
途中、目を引いたものがあります。それは昔このあたりで盛んだったという炭焼き窯の跡です。最初に見つけた窯跡近くには当時の炭焼きの様子を収めた写真とともに立て札があり、それには「国策工業炭は昭和二十五年頃迄製炭」と書かれています。
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炭窯の跡
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かつては「普通」だった炭焼きの風景を収めた写真
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昭和25年といえば今から60年以上も前のことです
平野さんによれば、炭焼きが盛んだった頃にはそれで財をなした人が珍しくなく、このあたりの集落は裕福な集落として知られていたということです。炭焼きがなくなってしまった今となっては、想像すらできません。おそらくそうした変化は急激にやってきたのではないでしょうか。
さて、上り始めて20分ほどで「最初の滝(滝の一段目)」に到達しました。滝といっても「滝」と聞いて一般に想像する豊かな水量の豪快な滝とは違って、どちらかというと川の流れに近いものです。秋は雨が少なかったので、そのせいで水量が少ないのかもしれません。
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大きな岩に自然のパワーを感じます
しかし、圧巻だったのは水ではなく、その水が流れるところ、つまり岩盤です。出発前に平野さんが説明してくれたとおり、この金滝のすごさは、滝の岩盤が巨大というか長い一枚岩でできているという、その事実にあるのです。
500メートルなのか1キロなのか、それは正確には測っていませんのでわかりませんが、感覚的には1キロといっても差し支えないほど長くて大きな岩の上を水が流れているのです。
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「一段目」の滝の上部からの眺め
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側面には巨大な一枚岩があります
普段だれも訪れない場所だけあって、本物の自然の中にいるという感覚がわいてきます。
平野さんによると、この「一段目」に続いて「第二段」「第三段」があるというので、まだ先を目指すことになりました。細くなり、水量もさらに少なくなってきてはいますが、下の段とはまた異なる美しさが目の前に現れてきます。二段目、三段目ときて、さらに神秘的な雰囲気が強まっていくようです。
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人間が本当に小さく見えます
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自然がつくった造形美にただうっとりするだけ
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絵葉書に出てきそうな風景が目の前にあります
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また夏に来て水の中に入ってみたいものです
下山でもまた、道なき道を歩いていきます。上りの道とは違うルートをとっているようです。途中「迷ったかな?」と思う場面もありましたが、なんとか入り口に無事たどり着くことができました。
相変わらず身体中から汗が吹き出ています。時計を見ると、出発してから2時間半ほどが経っていました。もっと長い間山の中にいたような気がしますが、思ったほどではなかったようです。
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紅葉が美しかったです
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どこまでも続く岩盤
けっこうきつい道のりでしたので、万人に勧めるわけにはいきませんが、自然が好きな人、滝が好きな人、自然の癒しの力を求めている人、そんな人たちにはたまらない場所といえるかもしれませんね。
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