肝付町川上地区の川上中学校体育館で1月27日、「おおすみ踊る地域案内所」のクロージング・イベント(閉所式)が開かれ、町内はもとより鹿屋市や志布志市などから100人を超える人々が山間の集落に集いました。
JOUさんのパフォーマンスを不思議そうに見つめる観客
ダンスの稽古(けいこ)場と地域の拠点としての案内所を合体させた「おおすみ踊る地域案内所」は、コンテンポラリーダンサーのJOUさんと視聴覚作家の松本充明さんが昨年12月、期間限定で開設したもので、ダンスの稽古の一般公開やワークショップなどを行ってきました。
その最終日となった今回のイベントでは、永野和行町長や川上地区の住民代表によるあいさつの後、所長のJOUさんと特別ゲスト所員のフランス人ダンサー、ルイ・クレモン・ダコスタさんによるダンスパフォーマンスが披露されました。
マイケル・ジャクソンの「ビリージーン」に合わせて踊る二人
実は、今回のパフォーマンスは制作途中のもので、完成版は今春スイスのジュネーブで発表されることになっています。つまり、進化中の作品ということで、ルイさんが川上にやってきてから追加された「日本的な要素」もあり、観客はいわば未完成の作品が持つ未知の可能性に触れる貴重な機会を得ました。体育館全体を使ったパフォーマンスでは、途中、川上地区での活動を紹介したり、開演前に製作された紙飛行機を観客が飛ばしたりする場面もありました。
開演前につくった紙飛行機を飛ばす観客
案内所をこれまで数度訪れたという、肝付町後田の梶原悦子さんは「自分の体に合わせて踊るということを教えてもらいました。今回のパフォーマンスは音楽と動きがとてもすてきでした。とても無理ですけれど、あんなふうに自分も踊れたらと思います」とプロのダンサーのしなやかな動きにすっかり魅了された様子でした。
続いて行われたアフタートークでは、ダンスや演劇、ファッションショーなどさまざまなアート・イベントを催しているスパイラルホール(東京)のプロデューサーでJOUさんと親交のある宮久保真紀さんが加わり、今回のパフォーマンスについてJOUさんやルイさんとともに解説しました。
パフォーマンス後のアフタートークで川上の印象について話すルイさん
「作品の制作途中での発表はよくするのか」という質問に、ルイさんは「いつも制作段階で披露するのは関係者や友人だけなので、今回はちょっとびっくりしています」と答え、また川上地区の印象について「こんなに親切に受け入れてくれるところはないです」と語り、川上での滞在を十分にエンジョイしているようです。ほかにもダンスを始めたきっかけなどについて観客から質問があがっていました。
トークのまとめとしてJOUさんは「作品をつくるときは年齢差も超えて対等に意見をぶつけ合い、同じ舞台に立ちます。地域おこしにも共通するのではないでしょうか」と人と人のつながりや信頼関係の大切さを強調しました。
地元の女性からふくれ菓子をプレゼントされ、うれしそうなルイさん
会場となった体育館ではその後、来場者が持ち寄った料理や川上の棚田でとれた米のおにぎり、イノシシの焼肉などが全員にふるまわれ、厳しい冷え込みの中、心温まる交流のひと時を過ごすことになりました。
クロージングイベントの最後に開かれた交流会
ルイさんと楽しそうに共演する「踊る観光協会?!」の尾身健さん
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