【きもつき情報局】眠っている竹林を宝の山に!

春の味覚といえば一般的に菜の花やフキノトウ、春キャベツなどがあげられますが、当地ではやはりタケノコが思い浮かぶのではないでしょうか。
調べたところ、鹿児島県は竹林面積が日本一で、県北に位置するさつま町などでは収穫最盛期の3月中旬前に出荷する早掘りタケノコの生産が盛んに行われています。早いところでは11月に出荷が始まる地域もあるぐらいです。
実は、肝付町にも135ヘクタールの竹林があるのですが、そのほとんどが手つかずの放置林になっているのが現状です。
町ではこの状況を改善し、早掘りタケノコの生産者を育成するために2年前から「たけのこ生産セミナー」を開催。このセミナーから生まれた民間組織もあり、タケノコ生産から加工、販路開拓に向けた一連の流れを模索しつつ、町の特産品としてのブランド化を目指しています。
2月26日には岸良地区の姫門ふるさと体験館で今年初めてのセミナーが開かれ、11名が参加し、タケノコ栽培について全般的に学んでいきました。
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土台づくりの基礎を説明する大隅地域振興局の片野田さん
具体的には、竹林の整備方法に加えて、肥培(肥料を与えて栽培すること)や除草の仕方、タケノコの収穫、出荷方法など、タケノコ生産を始めるための基礎が中心で、講師を務めた鹿児島県大隅地域振興局農林水産部林務水産課の片野田逸朗さんは、「親竹の密度は、両手を広げて自由に歩き回れるくらいの間隔になるよう余分な竹は古い順に伐っていってください」とタケノコ生産の土台づくりの基本を参加者に説明しました。
セミナーでは約1時間半の講義の後、タケノコ出荷の実績がある木村實馬さんの竹林に移動し、参加者は肥料の種類やイノシシなどの害獣対策などについて木村さんに質問していました。
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きれいに整備された竹林を見学する参加者
ちなみに、セミナーの翌日には木村さんの竹林で今年初めての収穫作業が行われました。
あらかじめ木村さんが印をつけていた場所に生えているタケノコのまわりを、刃の幅が狭い掘り取り用鍬(くわ)である程度掘った後、今度はのこぎりを使って地下茎(地中に埋もれる性質を持つ茎)からタケノコを切り離していきます。
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タケノコを傷つけないように慎重に鍬を入れます
結局、朝から午後3時くらいまで続いた作業では、砲弾型で身の締まった黄金色のタケノコが全部で12キロ収穫されました。
タケノコ掘りの次は出荷のための作業です。まずは、かたい根の部分を切り落とし、切り口以外の表面をたわしで軽くこすって土を落としていきます。ここでのポイントは、ある程度土を残しておくことです。これが国産の証明になるからだと木村さんが説明してくれました。
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黄金色の早掘りタケノコをたわしで軽くこすり土を落とします
次は、タケノコを2キロずつ小分けにして袋に詰めていきます。本来であれば、袋詰めしたタケノコは運送業者が集荷にくることになっていますが、現状では収穫量が少ないため、木村さんが車で運送業者がやってくる中継地点まで運んでいっているそうです。その後は、業者が仲買業者にタケノコを引き渡します。
今季初めての収穫に木村さんは「とてもきれいなタケノコが採れました」と満足そうな表情を浮かべ、「タケノコ生産の実例を率先してつくっていくことで、ほかの竹林所有者の参加をうながしたい。将来的には遊んでいる竹林をなくして、生産性の高い竹林にしていきたいですね」と話してくれました。
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