宇宙航空研究開発機構(JAXA)が8月22日(27日に延期)に打ち上げを予定しているイプシロンロケット試験機についての講演会が6月10日、肝付町の内之浦銀河アリーナで開催され、同ロケットのプロジェクトマネージャーの森田泰弘教授が「未来を拓くイプシロンロケットの挑戦」と題して講演しました。
会場には内之浦中学校の生徒や地域の住民、関係者がおよそ100人集まり、画像や動画を使っての講演に熱心に聞き入りました。
講演会の冒頭で、永野和行町長があいさつし、昨年開かれた糸川英夫博士の生誕100周年記念行事に触れ、町民の協力への感謝を述べるとともにイプシロン打ち上げに向けて今後の協力を呼びかけました。
あいさつをする永野町長
講演では、森田教授が歴代のロケットの図を示しながら「これまでのロケットとイプシロンロケットの違いはなにか」と来場者に質問し、それに対する回答を軸にして、イプシロンロケットの研究は小型・高性能・低コスト化を目指して進められていること、また打ち上げを効率化することで「世界で最も簡単に打ち上げることのできる、飛行機のように身近なロケット」を目標にしていることなどを説明しました。
講演する森田教授
また、今回の打ち上げの大きな特徴として管制の大幅な簡素化が指摘され、これまでのように管制室に大勢の人が集まり、ロケットの動きを監視するのではなく、会議室のような部屋にパソコンと数名のスタッフがいるだけの管制態勢になることが画像を使いながら説明されました。
これについて森田教授は、「打上げ時の管制室の様子はアポロ時代からほとんど変わっていません。50年変わらぬ打ち上げ方をしていたわけですが、イプシロン方式は今後の50年の手本になるものだと思っています」と述べ、人工知能を利用してロケット開発における常識を覆す挑戦をしていることを解説しました。
さらに開発現場や組立作業の様子やM-Vロケットに搭載していたカメラによって写された打ち上げ時の映像の紹介もあり、映像が終わると会場からは拍手がわき起こりました。
森田教授に質問する内之浦中学校の生徒
講演後の質疑応答の時間では、小中学生を中心とした来場者から「イプシロンの重さは?」「酸素がない真空状態なのにロケットの燃料はどうして燃えるのか」などの質問が次々と出され、森田教授はわかりやすく丁寧に答えていました。
質問をした内之浦中学校2年生の伊地知龍之介君は「ロケットの開発について勉強になりました。学校の理科の授業で習っていることが、ロケット開発にも関わってくるのだと知って、今習っていることを大切にしたいと思いました」とロケット開発をより身近なものとして感じた様子でした。
※お知らせ:イプシロンロケット試験機打ち上げの際には、交通渋滞が見込まれるため、宮原一般見学場への入場については車両数の制限を設けた上での事前抽選方式となっています。詳しくはこちらをご覧ください。
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