【きもつき情報局】パッションフルーツは親子三代の味

まわりにサツマイモ畑が広がる畑作地帯の一角で親子三代にわたり、くだものづくりを続けているのは肝付町後田の前村果樹園です。
 
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三世代で果樹園を営む前村さん一家
 
栽培しているのは、鹿児島早生みかん、タンカン、ポンカン、デコポン、はるみ、カラーマンダリンの柑橘類6種類に加えて、パッションフルーツにマンゴーと合わせて8種類です。収穫時期の異なる組み合わせで、ほぼ年間を通していずれかの果物を収穫し、販売するほか、自家製のジュースやジャムの販売もしています。
 
三世代仲良く
 
以前はタバコなどを栽培する農家だったという初代の前村高雄さん(78歳)、幸子さん(76歳)夫婦が果樹園を始めたのは今から半世紀ほど前のこと。農業基本法に基づく国の施策である農業改善事業をきっかけに昭和30年代末、ポンカンや温州みかんといった柑橘類の果樹栽培に転換したといいます。
 
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青いながらもすでに特徴的な形になっているデコポン
 
そして、2人の跡を継いだのが2代目の光昭さん(56歳)、洋子さん(53歳)夫婦です。光昭さんは大学を出た後、名古屋で働いていましたが、高雄さんが体調を崩して入院したのをきっかけに「果樹園を継ぐことに抵抗はなかった」と昭和55年に帰郷、かえって両親のほうが「仕事を辞めて帰って来た」ことに驚いたといいます。
 
当時は町内(旧高山町)の果樹生産者も100人以上いたそうで、光昭さんは「若い人も多くて、飲ん方(飲み会)も多くて楽しかったですよ」と振り返ります。
 
そして今年4月からは孫の慎太郎さん(26歳)が「やりがいがありそうだから」と会社勤めを辞めて、奥さんの純さん(26歳)とともに果樹栽培に加わりました。
 
祖父の高雄さんは「中高生のころは継がないといっていたので、こんなにありがたいことはないです」といい、また父親の光昭さんも「うれしいですね。おかげでゆっくりできるんじゃないかと期待しています」とどちらも3代目ができたことを心から喜んでいる様子です。
 
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マンゴーの剪定をする光昭さん
 
このように三世代一緒に果樹園で働いていますが、実は「出勤時間」や作業場所はそれぞれ別なのだそうです。
 
取材で訪れたときは高雄さんがミカンの摘果、光昭さんが収穫の終わったマンゴーの剪定、慎太郎さんがマンゴーの剪定後の片付け、幸子さんがジャムづくり、洋子さんが販売と、それぞれ役割を分担して働いていました。(ちなみに慎太郎さんの奥さんの純さんは子どもが生まれたばかりなのでしばらくはお休みです。)
 
ただし、お茶の時間は違います。「10時と15時にみんなで集まってお茶を飲む」のが習慣だそうで、それが仲良く働く助けになっているのではないかと幸子さんはいいます。
 
今が旬のパッションフルーツ
 
梅雨が開ける7月はパッションフルーツの収穫期にあたり、果樹園の入り口に立つと、収穫されたパッションフルーツが保管されている建物から甘酸っぱくさわやかな香りが漂ってきます。
 
販売を担当している洋子さんがその香りについて笑顔で話してくれました。
 
「人をひきつける本当にいい香りで、心が癒やされます。ストレス解消になるのではないでしょうか」
 
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つややかなパッションフルーツの実
 
パッションフルーツを栽培しているハウス内では、支柱にからんだつると青々と茂った葉の間にあちらこちらで丸い実が下がっています。主に栽培しているのはサマークイーンという品種で、実が赤紫色をしていて酸味が控えめで甘いというのが特徴だそうです。
 
つやつやした実は緑から次第に赤みをおび始め、赤紫色へと変化していきます。ときには地面に落ちて転がり、それを拾い上げていくのも収穫作業のひとつだといいます。
 
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パッションフルーツの実を拾う高雄さん
 
高雄さんによると「今年は特に大きくて、実も多い」そうで、7月末くらいまでに収穫を終え、8月に入ったら自家製パッションフルーツジュースも販売する予定です。
 
ちなみに収穫後の8月には、パッションフルーツの木はつる性のため、毎年植え替えるほうが管理しやすいとのことで、その年の3月にさし木をしたものと植え替えるそうです。
 
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魅惑の香りを放つパッションフルーツ
 
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自家製ジュースやジャムも人気
 
年間通して果物を生産
 
高雄さんがパッションフルーツに取り組み始めたのは20年ほど前、農業試験場を訪れ、試食し、「これからの果物はこれだ」と思ったのがきっかけだったといいます。「年間を通じて生産できる仕組みづくり」という前村果樹園の経営方針に沿った決断であり、その5年後にはマンゴーも将来性のある果物として栽培に乗り出しています。
 
「パッションフルーツは栽培がしやすく、無農薬でつくれるのがいいですね。栄養価も高く、健康にいいと人気があります。マンゴーは病害虫に弱く、栽培するには技術がいりますが、良いものさえつくっていけば商品として問題のない果物です」(高雄さん)
 
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マンゴーとパッションフルーツの詰め合わせ
 
果樹栽培に対するこだわりは、EM(有用微生物群)の活用など技術的なこともありますが、なによりも「誠心誠意尽くすこと」だと高雄さんはいいます。お客さんに満足してもらえる商品をつくることで、お客さんがお客さんを呼んでくれる、そのつながりを大切にしているそうです。
 
「みなさんから愛されるものをどうやって楽しみながらつくっていくか。新しい品種も取り入れながら期待にこたえられる商品づくりをしていきたいです」と高雄さんは意欲的です。
 
販売を担当する洋子さんによると、リピーターは年々増えていて、毎年、注文してくれる人や友だちの紹介で訪れる人も多く、「扱う果物が一種類だけではないから、料金など希望に応じて詰め合わせができることも喜ばれています」といいます。
 
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お客の注文に応じて商品を箱詰めする洋子さん
 
さらに洋子さんは「昔と違って今は農家でも人との交流ができて楽しいです。ここに嫁いでから友だちが増えたんですよ」と注文に訪れたお客さんとのおしゃべりも楽しんでいるようです。また、熱心に「宣伝」してくれるお客さんもいるそうで、「ありがたいことです」と人のつながりの大切さを実感している様子でした。
 
今春から3代目が加わり、ますますにぎやかになった前村果樹園。これからも人との交わりを大切にしながら、家族みんなで力を合わせておいしい果物を私たちに届けてくださいね。
 
 
※前村果樹園での商品購入については下記情報をもとに直接お問い合わせください。
 
前村果樹園
〒8936-1203
鹿児島県肝属郡肝付町後田4089
TEL:0994(65)7175
FAX(自宅電話兼):0994(65)0366
携帯電話:090(7158)8322
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