ほぼ900年の長きにわたり続いているという肝付町高山地区に伝わる流鏑馬(やぶさめ)には、毎年中学2年生の男の子の中から一人の射手が選ばれ、約1か月半の厳しい訓練を経て、10月の第3日曜日の本番を迎えるという特徴があります。
それまで馬に乗ったことがないまったくの素人の少年が流鏑馬の射手を務めるということで、全国的にも珍しい伝統行事(神事)となっています。
今年の流鏑馬は10月20日に行われるということで、先ごろ、平成25年度の射手も決まり、本番に向けた動きがスタートしました。
射手に決まったのは下之門集落に住む吉松博志さんの長男で高山中学校2年生の大志君(14)です。流鏑馬の伝統を受け継ぎ、実施してきている高山流鏑馬保存会が7月に役員会を開き、決定したのを受け、8月6日には報告と正式な依頼のために保存会のメンバーが吉松さん宅を訪れました。
正式な依頼をする保存会のメンバー(右)
午後6時半過ぎに吉松さん宅を訪問した保存会メンバーを代表して益山瞬一会長が「今年の射手として体に気を付けて頑張ってください。よろしくお願いします」とあいさつし、これを受けた吉松さんの家族が「ありがとうございます」と返答、この日をもって正式に25年度の射手が決定しました。
今年の射手に選ばれた大志君と父親の博志さん
陸上部に所属している大志君は、小学4年生のときに行われた流鏑馬学習会で初めて馬に乗り、流鏑馬について知ってから、ずっと射手への憧れを抱いていたということです。大志君は「(馬に)乗りたいという夢を大成功させるために、たくさん努力をしたいです」と意気込みを語ってくれました。
父親の博志さんと母親のゆかりさんは「本番までの期間は子どもの成長を見られる、いいきっかけだと思って、息子を支えていきたいと思います」と語る一方、高山高校に通う姉の菜々美さんは「高校1年生のときから流鏑馬の練習で綱持ちの手伝いをしてきました。これまで身近に見てきた流鏑馬の射手に弟が選ばれて驚いています。今年ももちろん綱持ちのお手伝いをします」と話し、家族総出でサポートしていくことを確認しました。
また保存会広報担当の武下敏行さんは「流鏑馬学習会は高山小学校が行っている郷土学習なのですが、その第1回が大志君たちの世代なのです。その成果が早速現れた、これはとても大事なこと、そして素晴らしいことです」と学校の取り組みを高く評価しました。
この日の吉松家では、たくさんのご馳走が用意されて保存会のメンバーをもてなし、楽しい宴が催されたのでした。
吉松家のもてなしを受ける関係者
昨年同様、きもつき情報局ではこの肝付町最大のイベント、流鏑馬に関して大志君の練習風景を中心としながら、10月20日の本番まで継続的かつ丁寧に取材してみなさまにお伝えしますので、ぜひアクセスして本番までの動きをフォローしてみてください。
いったい今年はどんなドラマが生まれるのか――
さぁ、やぶさめロード2013の始まりです!
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