【きもつき情報局】岸良の夏の風物詩「ナゴシドン」(2013年)

肝付町岸良の平田神社には地元で「ナゴシドン」と呼ばれる夏越祭(なごしさい)が伝えられています。
 
ナゴシドンとは、住民の除災・招福を祈願して平田神社の御祭神である猿田彦命(サルタヒコノミコト)、大山祇命(オオヤマズミノミコト)、金山彦命(カナヤマヒコノミコト)の神霊を神面三体にうつして岸良海岸へと運び、神面を前に浜辺で海神に向かって神舞(かんめ)を奉納するもので、今年も8月14日に開かれました。
 
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神面三体(右から大山祇命、猿田彦命、金山彦命だそうです)
 
午後4時過ぎに神社本殿で神事が始まり、三体の神面や神舞に使う薙刀(なぎなた)、チガヤで編まれた縄などを前に宮司によって祝詞が奏上され、玉串が捧げられました。舞い手を務める黒木和人さんによると、サルタヒコノミコトをかたどった神面は神舞とともに高山地区の四十九所神社から伝えられたといいます。
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おはらいを受ける参列者
 
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興味津々でのぞきこむ子どもたち
 
神事が終わると、神面や薙刀、太鼓、お供え物などを軽トラックの荷台に積み込んで宮司らが岸良海岸へ向かいます。移動中、太鼓がずっと打ち鳴らされ続けていました。
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軽トラックで運ばれる神面
 
浜に到着すると、三面の神面が交代で波打ち際まで運ばれ、海水につけた榊(さかき)の枝がその上で振られます。その後、神面は砂地に薙刀とチガヤの縄と一緒に並んで立てられ、再び祝詞が奏上されました。
 
それが終わると、集まった地元住民らが次々に玉串を奉納していきます。
 
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海水に浸された榊が神面の上で振られます
 

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 集まった人々が次々と玉串を捧げます
 
玉串の奉納が終わると神舞です。まずは巫女舞で、青い海を背景に音楽に合わせて赤い袴姿の巫女が扇や鈴のついた短刀を手にゆるやかな動きの舞を披露しました。
 
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扇を手に奉納される巫女舞
 
続いて奉納されたのが平田神社に伝わる神舞のひとつ、薙刀舞です。
 
はじめに太鼓の音とともに舞手が片手で鈴を鳴らしながら、もう片方の手に白く長いたすきを握って舞い始めます。次に両手にたすきを持って舞い、舞いながら素早くたすきを掛けます。一瞬の早技です。
この技については、「昔は掛けるところを人に見られてはいけないといわれ、教えてもらえずに舞手の動きを盗み見て覚えるしかありませんでした」(黒木さん)ということで、地元に伝わる伝統の技といえます。
 
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はじめは鈴を鳴らしながら舞います
 
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白いたすきが宙に舞います
 
たすきをかけると、今度は薙刀を手に取り、頭上やからだのまわりで大きく回しながら舞います。力のこもった動きです。
 
ちなみに古くから伝わるこの薙刀は実際に刃が入っているもので、舞手の黒木さんは以前、手を切ってしまったこともあるそうです。
 
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薙刀を大きく回しながら舞う黒木さん
 
神舞が終わると、しめ縄くぐりです。集まった人々が、四方に張り巡らされたチガヤのしめ縄の下をくぐって3往復半し、無病息災を願いました。
 
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チガヤのしめ縄くぐり
 
宮崎県三股町から訪れた岡田実和さんは「地元の方には当たり前の風景かもしれませんが、こんなにきれいな海と山がある場所で、小さな子どもから老人まで加わって一つのことが続けられているのがすばらしいです。このまま続けていってもらいたいです」と語り、いまなお続く地域の伝統と自然の両方に感激した様子でした。
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