偏見や差別など人権問題について考える人権教室が8月21日、肝付町の内之浦中学校武道館で開かれ、ハンセン病問題をテーマにした講話や紙芝居が同中学の全校生徒65人と保護者、地域住民の前で行われました。
同中学校では、これまで人権教育としてハンセン病問題を中心にした学習に取り組んでおり、ハンセン病療養施設を生徒が訪問し交流するなど、ハンセン病を通して人権問題への理解を深めています。今回の学習会もその取り組みの一環として開かれました。
この日は、教員で構成される肝属地区人権同和教育研究協議会の手づくり紙芝居でスタート。同協議会の新作で鹿屋市の療養施設、星塚敬愛園で入所生活を続けている玉城シゲさん(95)の半生を描いたもので、MBCアナウンサーの二見いすずさんの読み聞かせで初めて披露されました。
二見さんによる紙芝居の読み聞かせ
紙芝居では、国の隔離政策によって、出身地の沖縄から星塚敬愛園に入所し、強制労働や妊娠発覚後の強制堕胎など玉城さん本人のつらい経験がありのままに伝えられました。
スクリーンに映し出された紙芝居
さらに玉城さんが差別や偏見をなくすために今なお精力的に活動を続けていることを紹介し、「人間は人間として生きるべきだ」という玉城さんの力強いメッセージで紙芝居を締めくくりました。
その後、一般の人々のハンセン病問題に対する誤解、偏見、差別を解消するための活動をしている「NPO法人ハンセン病問題の全面解決をめざして『共に歩む会』」の倉園尚さんが活動を通して学んできたことを話しました。
講演する倉園さん
その中で倉園さん自身も直接は関わっていなくても病気に対しての間違った認識からおこる差別感情の持ち主のひとりだったと打ち明け、国の政策の過ちをただす国賠訴訟を通して少しずつこの問題を理解していったという過程を説明しました。
真剣に話を聞く生徒たち
最後に倉園さんは「結局、差別の仕組みをつくったのは国です。その差別をし続けたのが私たち世代です。今日は、入所されている方々がかわいそうな人だから手を差し伸べてあげなさいと言うために来たのではありません。病気に対する正しい知識を持たない人たちが、いかに差別してきたかということを心にとめてもらうために来たのです。このことを家に帰って保護者に話してもらえたら幸いです」と訴えました。
真剣な表情で話に聞き入っていた生徒会長の前原大悟くんは「今日聞いた話を学校でしっかり考えて、みんなで意見交換をしていきたいです」と話していました。
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