流鏑馬の本番まで3週間をきった9月30日の夕方、肝付町高山地区の四十九所神社で弓矢の練習が始まり、流鏑馬の練習が次の段階に進みました。
弓矢の練習の前は馬に乗って馬場を走る通常練習です。この日乗る馬は新馬のはやぶさでしたが、射手の吉松大志君は落馬することなく、保存会メンバーや家族、地域の人たちが見守るなか、無事に練習を終えることができました。
地域の人々に見守られながら行われる練習
前日までであれば、これで練習は終わりですが、弓矢の練習はここからスタートです。時刻は午後5時半を過ぎ、日が暮れ始めています。
神社の境内に移動し、矢を入れる容器、「箙(えびら)」を保存会メンバーにつけてもらった大志君。準備万端です。まずはその箙から矢を抜き取る動作を練習します
腰に固定された箙に右手を伸ばして一本ずつ矢を引き抜くのですが、そう簡単にはいきません。肘を伸ばすようにして引き抜かないと矢を固定している縄に引っかかってしまうのです。
まずは箙から矢を引き抜く練習からです
「初めはだれだってできるものではない。失敗するたびに声をあげるな」と厳しい声が高山流鏑馬保存会の益山瞬一さんからかかります。本番が近づくにつれ、現場にはより一層の張り詰めた空気が漂っています。
それでも昨年の射手の益山麗斗君と保存会のメンバーの指導で、少しずつコツをつかんでいきます。その甲斐あってかなんとか縄に引っかけずに矢を抜けるようになりました。
そして次はいよいよ矢で的を射る練習に入ります。麗斗君の手本を見たあとは実際に大志君が弓矢を手にする番です。
手本をみせる昨年の射手、益山麗斗君
関係者が注目するなかで行われた初めての的当ては、矢が前に飛ばず弦にかかったままです。これにはまわりの人たちも拍子抜けです。生まれて初めてのことですから、そう簡単にいくはずもありません。
それでも、厳しい指導を受けながら、ひたすら矢を射続ける大志君。続けているうちに次第に的に当たるようになり、的の中心をとらえることも何度かでてきました。
何度も矢を放つ練習を続ける大志君
こうやってわずか1時間ほどの練習で大きな進歩を見せてくれた大志君。練習の後のインタビューでは、「本番まで3週間を切りましたがなんとかなりますか」との質問に対して、「なんとなるではなくて、なんとかする」と力強く答えてくれました。彼の並々ならぬ決意と意志が込められた答えです。
練習が終わったころにはすっかり日が暮れていました
これからさらに練習を重ね、弓矢をマスターしたら、次はいよいよ馬上からの的当てに挑みます。大志君のやぶさめロードは後半戦に入りました。
この記事へのコメントはありません。