肝付町における新年の幕開けを告げる行事の中で、もっとも勇壮といえるのが鬼火焚きではないでしょうか。今年、町内では1月4日から6日にかけて高山地区の3カ所で行われたほか、7日には内之浦漁港近くの海岸でドヤドヤサーと呼ばれる鬼火焚きが行われます。
今回のきもつきレポートでは、そのうちの最初に行われた「国見のジャンボ鬼火焚き」をレポートします。取材を担当したのは町民レポーターの有村哲郎さんです。国見での鬼火焚きを初めて見たという有村さん、いったいどんな感想を持ったのでしょうね。ちなみに写真も有村さんが撮影したものです。どうぞご覧ください。
夕暮れ迫る国見の畑に出現した巨大な鬼火焚き
正月明けの行事として日本全国にある鬼火焚き――肝付町内でも複数の場所で行われますが、その中で一番早く、1月4日夜に行われるのが、国見のジャンボ鬼火焚きです。
今回で10回目を迎えるという比較的歴史の浅い、この鬼火焚き。1町歩はあろうかと思われる広い畑の真中に杉の木を立て、それに鹿児島特産の太い孟宗竹を組み合わせ、高さは30mもあります。
鬼火焚きを知らせる看板
冬の陽が落ちて夕空に三日月が上る頃、国見校区青少年育成連絡協議会の平野順一会長が「今年もたくさんの人に集まってもらえて大変うれしいです。良い年になるように元気をだしてがんばりましょう」とあいさつし、今年の年男、年女となる人たちが呼ばれて松明を持って次々に火をつけると、見る見るうちに竹に火がまわり壮大な火祭りが始まりました。
いよいよ火を入れていきます
火がまわるとともに、パーン、ドーン、バーンという孟宗竹のはじける音とともに夜空に無数の火の粉が舞いあがります。昔から鬼火焚きには、悪霊を退治して新年の無事を祈るといった言い伝えがありますが、そんな説明は抜きにして、とにかくその勇壮さに感動です。見ているだけで元気が出ます。
ものすごい迫力です
寒い中、鬼火焚きに集まった人たちには、温かいぜんざいと焼酎がふるまわれました。冷たいはずのコップ酒が火の粉を浴びながら飲むとなぜか温かいように感じます。
1時間ほどで火は半分ほどに落ち、その後は竹竿の先に餅を2個つけたものをやぐらに伸ばし、餅をあぶります。やっぱり、あぶりたての餅の美味しさはたまりませんね。
長い竹竿の先につけた餅をあぶります
やがて鬼火が下火になり、今年の鬼火焚きもそろそろ終わりとなりました。残り火を後にして、身も心も温かくなった来場者が家路につく時間です。そのときになって初めて「ああ、今年もきっといい1年になるな」という気持ちがわいてきました。
始まってまだ10回という比較的新しい国見のジャンボ鬼火焚き――この夜、あつあつの餅とぜんざいを食べ、火の回りを走り回った元気な子供たちの手によって50年先、100年先も続いていって欲しいですね。
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