【きもつき情報局】歴史探訪 第3回 内之浦編6 小田のクス

きもつきの歴史について学んでいく歴史探訪の第3回内之浦編の第6部では、熊襲征伐に訪れた景行天皇とゆかりがあるといわれている小田の楠について肝付町文化財保護審議会会長、海ケ倉善通(かいがくら よしかず)さんの解説でお伝えします。

 


 

なお、以下の文章は解説を書き起こしたものですが、話し言葉のため、若干の加筆・修正が加えられていますのでご了承ください。

 

町指定天然記念物のクス

 

このクスは町指定(天然記念物)ではありますが県指定とか国指定ではありません。ですが、大きさはおそらく国の天然記念物に指定されている塚崎のクスに匹敵する大きさです。

 

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幹がふたつに分かれた小田のクス

 

木の大きさを測る場合は、だいたい「目通り」といいまして120cmぐらいの高さの(幹)周りを測るのが普通です。

 

ところが、これはもう下から幹が分かれてしまっているんですね。

 

このクスノキは内之浦町史の古い記録のなかには2メートルから3メートル埋まっていると書いてあります。

 

今は堤防のところがやぶになってしまってここからは見えませんが、川が向こうには流れています。昔はこの辺りも川でしたので、昭和13年(1938年)の水害で2メートルから3メートル(土砂で)埋まったということになっています。

 

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小田のクスについての説明板

 

ですが、根っこがこの辺に出ていますし、向こうにも大きな根っこが出ていますので、おかしいなあと思って(高山町と内之浦町が)合併してから調査をしました。

 

この下の1メートルくらい近くを1回掘って、ちょうどこの辺の5メートルくらいのところを掘って、それから12メートルのその先のところも掘りました。

 

3カ所掘ったのですが、そんなに深くは埋まってはいないんですね。埋まっているところでも80センチぐらいです。

 

町史というのは公的なものですから、町史を書いた係の人たちに何を根拠に書いたのかと聞きましたら、みんながそんなに言っているから書いたということなんですね。

 

そこの先に昭和13年の(水害の)ことを覚えていらっしゃる年配の方がいらっしゃったので、わたしが行ってどのくらい埋まりましたかといったらそんなには埋まっていないよといわれました。

それともう一つ、このクスは樹齢400年となっていますが、これもどうして400年なのかと尋ねましたら、みんなが400年だといっているということでした。

 

このクスの樹齢についても不審に思いましたので、九州内の各県の大きなクスノキのデータを送ってくださいと各県に依頼しました。長崎以外からは全部データが送られてきましたので、それで平均を出しましたら、100年で1メートル40センチ大きくなるということになりました。ですから1000年で14メートル、それが平均の大きさです。

樹齢というのは実際いつ植えて何年経っているというのはどこのクスもわかりません。その辺の人がもう何年くらいたっているんだよということで推定の樹齢なんですよ。

 

塚崎のクスは14メートルありますが、樹齢は1300年となっています。あれも果たして1300年かわかりません。古墳の上にあって、その古墳がつくられてから1500年近くたっていますから、そのあと生えたのか植えたのかわかりませんけれども1300年というのは妥当な線かなあと思っています。

 

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塚崎の大クス

 

この小田のクスも樹齢400年と書いてありますが1000年はくだらないと思います。県にも連絡したりするんですが、まだ実際に鑑定をするということができていません。

 

穴をあけて樹齢を数える方法はあるんですよ。だけどこういう大木はそこから腐れが入ったりすると枯れてしまいますので、そういうことができないんですね。

ですからいわれている推定を樹齢として扱っているんです。

 

江戸時代の記録

 

史料の中に江戸時代にかかれた三国名勝図会という記録があります。それに(この場所の)絵が描いてあって、その絵ではこのクスの前にもう1本あります。

 

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三国名勝図会に描かれた小田のクス

 

大きなのが3本描かれているので、調べてみましたら、(土の)中に腐ったのがこの前にありました。今は2本に幹がなっていますが、三国名勝図会をかいた江戸時代にはもう1本まだ大きなのがあったということですね。

 

こんなに下から大きな幹が分かれた木というのは割合少ないです。

 

ほかのところの木を見ますと、たとえば蒲生のクスは日本一ですが、塚崎のクスよりも幹周りが10メートル大きいです。

 

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推定樹齢1500年の蒲生の大クス(姶良市)

 

あれはすーっと幹が伸びて枝が分かれて盆栽みたいになっています。

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