「遠距離で暮らしていますから、孫たちからもこんな思いにさせてもらったことはあんまりないですよ。最高でした」といって、子どもたちの肩もみに大感激なのは肝付町大浦集落に住む益田ミエカさんです。
肩もみされて気持ちよさそうなミエカさん(左)
ミエカさんの住む大浦は、平家の落人伝説でも知られた町内で高齢化率がもっとも高い集落です。その人里離れた集落で5月24日、地域のお年寄りと肝付町立国見小・中学校の児童生徒との初めての交流会が開かれ、お年寄りに子どもたちから肩もみや手のひらマッサージなどがプレゼントされました。
地域のお年寄りに元気を
同交流会は町社会福祉協議会が主催したもので(共催:後田地区公民館および町地域包括支援センター)、午前10時過ぎに会場となった大浦の交流研修センター(元大浦小・中学校)にバスで到着した8名の児童生徒はさっそく昼食の準備に入り、この日のメインの料理となるトン汁づくりに取り掛かりました。
昼食の準備をする国見の子どもたち
準備が進むなか、大浦集落のお年寄りが次々に会場に到着。お昼前にはみんなそろっての楽しい昼食が始まりました。メインのトン汁に加えて、炊き込みご飯、そして大浦の人たちが持ち寄った梅干しやラッキョウ、たくあんなど手づくりの料理が並びます。
普段は一人で食事をするお年寄りもいて、みんなで食べるお昼ご飯の味は格別なようです。
自然と笑みがこぼれてきます
実はこの日は種子島宇宙センターからH2Aロケット24号機が打ち上げられる日で、打上時刻の午後12時5分前には昼食を中断して、全員が会場前の見晴らしのよい場所に移動し、ロケットの発射を待ちました。
みんなでロケットの打ち上げを見学
ところが、その時間になっても何も見えず、音も聞こえなかったので「あれ、打ち上げは中止になったのだろうか」と思っていると、子どもたちのうちの一人が叫びました。
「あっ、見えた!」
その声に促されるかのように海の向こうに浮かぶ種子島の方角を目を凝らして見ると、確かに白い一本のロケット雲があります。そして、その先端部分に赤く輝きながら上昇するH2Aロケットが見えてきました。感動の瞬間の共有です。
特別ゲストといっしょに体操
打ち上げを見終わってから会場に戻り、昼食を終えると、お待ちかねのレクリエーションタイムです。子どもたちから肩もみと手のひらマッサージのプレゼントがあったほか(ただし、人数の関係で事前のくじ引きで当たった人が対象)、子どもたちが考案したクイズもありました。
気分はサイコー!
さらにこの日の交流会には、特別ゲストとしてベルギーのブリュッセルからやってきたプロのダンサー、タレク・ハラビーさんも参加。「何か健康に役立つ体操があれば教えてください」とのリクエストに応えて、上半身を使った体操を披露し、それに合わせてお年寄りや子どもたちが身体を動かしていきました。
肝付町在住のコンテンポラリーダンサー、JOUさんの誘いで今回の交流会に参加したハラビーさんですが、初めて訪れた日本の、そして鹿児島の田舎の集落で、地域の人たちや子どもたちと交流できてうれしそうです。
みんなに体操を教えるハラビーさん(中央)
今回初めて大浦を訪れたという国見小学校3年生の松山和子(わこ)さんは、「すごく楽しかったです。私は田舎が好きなので、将来はこんなところに住みたいです」と話し、短い滞在とはいえ、大浦をかなり気に入ったようです。
また、交流会に参加した14名ほどのお年寄りも大満足の様子で、益田ミエカさんは「普段はこうやってみんなで集まる機会がありませんので、とても貴重な時間です。子どもたちが来てくれると、この集落に子どもがいたころを思い出し、なつかしい気持ちになりました」と、集落に子どもたちがやってきてくれたことを心からよろこんでいました。
最後はみんなで記念撮影
こうして楽しい食事会や子どもたちからのプレゼント、特別ゲストによる体操などで盛り上がった交流会も午後2時には終了。最後に記念撮影した後、バスに乗り込んで国見に戻る子どもたちを大浦の人たちが名残惜しそうに見送り、別れを告げたのでした。
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