【きもつき情報局】ある虫に魅せられたきもつきの写真愛好家

目の不自由な人のために広報誌を音訳する活動や子どもたちを対象にした民話の読み聞かせなど、さまざまなボランティアに取り組んでいる肝付町内之浦地区在住の河野雄さん。もともと福岡県で育ち、船乗りの仕事や工業高校の教師をしていたという経歴を持っています。
 

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ボランティアや写真撮影など精力的に活動する河野さん
 
奥さんのスミ子さんが内之浦地区出身だったことから結婚後幾度かこの地を訪れているうちに、人の温かさと豊かな自然環境に魅せられて退職を機に平成13年に移住してきました。地域の人からは高校教師をしていたからでしょうか、「先生」と愛着を持って呼ばれています。
 
また河野さんは写真が趣味で、前出したボランティア活動の様子や自然の風景、動植物を撮影し、ブログやフェイスブックで紹介しているブロガーでもあります。
 

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子どもたちを集めて行われた民話の読み聞かせ
 
だから出かけるときは常に一眼レフカメラを携帯しています。撮りためた写真の枚数は数えきれないほどで、そのデータはすべてパソコンに保存しています。さらに、明るく背景ボケを生かした写真が撮れる単焦点レンズを数年前に購入してからは、よりいっそう撮影欲が湧いてきたといいます。
 
メディアなどで取り上げられ、話題になった鹿屋市のオーガニックローズガーデン「ダマスクの風」に飛来するブルー・ビーを最初に発見して撮影したのも河野さんです。珍しい昆虫や田舎の風景、野鳥などを中心にした撮影をライフワークにしています。
 
そんな河野さんには、大切にしているあるコレクションがあります。3年前から特定の昆虫だけを被写体にして収めたものなのですが、おそらくその昆虫を主役にする人はあまりいないのではないでしょうか。
 
それは害虫として忌み嫌われ、外からの刺激を受けると悪臭を放つことからクサムシや屁こき虫という俗称で呼ばれるカメムシです。
 
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ヒメナガカメムシ(写真:河野雄)
 
「誰もしていないことをやってやろう」と、一般的にイメージの悪いカメムシにスポットを当てた河野さん。そんな単純な理由だけで撮り始めたのですが、撮影を重ねるごとにカメムシの魅力に取りつかれていったといいます。
 
「人の顔が全て違うように、カメムシも個体ごとにさまざまな形態を見せてくれます。具体的にわかりやすいのは背中の模様や色です。赤や黄色、縞模様や水玉模様など多様性に富んでいて、撮影に行くたびにそれまで見たこともないカメムシに出会えるのです」
 
撮影ポイントは主に肝付町内で、用事で出かける際にカメムシが生息していそうな草むらを見つけたら、さっと車を寄せて撮影する簡易的なものが通常のスタイルになっています。
 

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アカスジカメムシ(写真:河野雄)
 
また予め撮影日を決めている日にはカメムシを求めて7、8時間かけ歩き通します。時には道をそれて藪に入り、そのまま山を越えることもあったそうです。
 
そのようにきつい思いをしてまでもカメムシに情熱を注ぐ河野さん。他にも虫刺されなどさまざまな困難にあいながらも撮影を続けられるほど、カメムシには魅力があるといいます。
 

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被写体にレンズを向ける河野さん
 
「体が動くかぎり撮り続けますよ」と話す河野さん。新たなカメムシの姿を求めてボランティア活動に励むかたわら野山に通っています。
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