肝付町内之浦地区にある小串集落で、住民の拠り所として大切にされてきた小串八幡神社。創建年は不詳ですが、かつて神社の境内には、樹齢数百年といわれる杉があったことから、古い歴史を持つことが推測されています。
弓矢の神として武人から敬われてきた小串八幡神社のつくりは少しかわっていて、社殿までの参道は下り坂。さらにくだった先に集落との境界線を敷くように小川が流れ独特の雰囲気を醸し出しています。
また、集落の先にある火出崎海岸は、山幸彦が失くした海幸彦の釣針を探しに船出した場所だと言い伝えられています。そのような伝説が残っているからなのでしょうか、小串八幡神社は小舟に奉持された丸い石をご神体にしています。
棚田の中に建つ小串八幡神社の鳥居
参道の途中に流れる小川
そんな八幡神社の社殿は、前述した杉の大木を使って建てられたもので、築50年あまりを経過し、シロアリなどの被害で危険な状態にありました。
改築の必要性に迫られたことから小串振興会は、集落を離れた出身者にも寄付を募り、改築費を捻出しました。
寄付人の名前を記した木板
かつて同地区にあった小学校の卒業名簿をたよりに寄付を呼びかけ、150万円集まりました。その結果、小串振興会で捻出した予算と合わせて300万円の改築費用が確保されました。
今年5月3日に解体が始まり、9日には上棟祝いが行われ、31日に完成しました。以前の姿そのままに社殿を建て替えたほか、本殿や鳥居、門守神社、境内を流れる小川をまたぐ橋を朱色に塗装しました。
以前の姿そのままに建て替えられた社殿
朱色に塗り替えられた門守神社
31日には、集落民や寄付者などを集めて、完成祝いが行われ、祝詞奏上や玉串奉奠などの神事が執り行われました。神事後は社殿で三味線の演奏などがあり、真新しい社殿に華を添えました。
三味線の音色に合わせて踊る集落民
この日完成祝いに参加した小串出身で霧島市在住の濱脇洋海さん(68)は「18歳の時に仕事で故郷を離れました。小串八幡神社へは結婚の報告に訪れて以来ですので40年ぶりになります。小串の人たちにとって大切な神社ですので、進んで寄付に協力させてもらいました。きれいになって本当に良かったです」と喜んでいました。
改築後初めての秋の例祭は11月に執り行われます。
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