【きもつき情報局】夫婦二人三脚で営む菓子店~二川菓子店

肝付町高山地区の中心部にある商店街は、今でこそ閑散としていますが、かつては朝から晩まで人通りが絶えることがなかったといいます。
 
その通りにある二川菓子店は、そんな賑やかだった時代、昭和43年(1968年)にオープンしました。当時、同じ通りだけでも菓子店が5軒あったそうです。
 
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二川菓子店を営む二川夫妻
 
開店当初から和菓子と洋菓子の両方を扱い、今も、かるかんやけせん団子といった郷土菓子をはじめとする和菓子とマドレーヌやシフォンケーキなどの洋菓子が店頭に並びます。
 
店の売りのひとつが自家製甘酒で、かつては期間限定でしたが、現在はほぼ通年で販売しています。この甘酒は、伝統行事の流鏑馬の際に四十九所神社で振る舞われているので、口にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
 
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蒸しあがったふくれ菓子を冷ましているところです
 
この二川菓子店の店主、二川恵(めぐみ)さんは内之浦出身。子供の頃から工作などものをつくることが好きで、兄が菓子店に勤めていたことから自身も菓子店に勤めることを決めたそうです。
 
「菓子づくりも接客も仕事をするのは好きです。幸せなことですね」と恵さんは語ります。
 
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洗いものをする恵さん。作業場にはいろいろな製菓用器具があります
 
鹿屋と高山で菓子店に勤め、28歳の年に独立し、それを機に商店街の近くで生まれ育ったクミ子さんと結婚、それからは二人三脚で子育てをしながら菓子店を営んできました。
 
クミ子さんはデパート勤めをしていて、製菓に関する経験はなかったのですが、結婚後、菓子作りはもちろん材料の発注や接客など恵さんと一緒にすべての業務にかかわることになりました。
 
実は、クミ子さんは一緒に働きながらも「自分は役に立っているのだろうか。必要なのだろうか」と長い間、不安に思っていたといいます。しかし、娘さんが進学で実家を離れるときに恵さんが「店を持つことが自分の夢だったけれど、お母さんがいてくれて支えてくれたおかげで今があるのだ」と話すのを聞いて、「自分を認めてくれていたのだ」と安心し、とても嬉しかったそうです。
 
今では率先して新商品開発に取り組んでいて、講習会やイベントに参加して指導を受けたり、意見を聞いたりしています。
 
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店頭に立つクミ子さん
 
そんな二人は、これまでに地元を代表するお菓子をつくろうと伝統行事の流鏑馬にちなんだ「高山やぶさめ饅頭」やロケット型のあんこが中に入った「イプシロンケーキ」、町の特産品の辺塚だいだい果汁と自家製甘酒を使った「甘酒ういろう」といった商品をつくり出して来ました。
 
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二川菓子店でつくるお菓子の詰め合わせ
 
最新作は辺塚だいだいの果皮や地元産の卵を使った「甘酒しふぉん」です。今年、7月に東京都庁で開催された「鹿児島の物産観光展」への出品を目標に試作を重ね、パッケージにも工夫を凝らしてきました。
 
このシフォンケーキの開発は、知り合いから「時期はずれでどこにも売っていないのだけれど、亡くなる前にどうしても甘酒を飲ませてあげたい人がいる」と頼まれて甘酒をつくって送り、その御礼にと送られてきた甘酒入りシフォンケーキのレシピがきっかけだったそうです。
 
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“東京デビュー”も果たした「甘酒しふぉん」
 
試作を重ねて、ひとたびは完成となったものの「まだ自分で考えている、これだと思えるものになっていません」とクミ子さん。これからもまだまだ理想の「甘酒しふぉん」を目指して改良していくようです。(※2015年7月28日に完成しました!)
 
軽トラ市や物産展などのイベントへの出店も積極的にこなす二川さん夫妻。「これからも続けられる限り店を続けていきたいですね」と口をそろえ、夫妻の二人三脚はまだまだ続いていきそうです。
 
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