【きもつき情報局】流鏑馬2015 強い意志で大役果たす

肝付町の四十九所神社参道で行われる流鏑馬は900年以上の歴史を持ちます。
 
武芸としてではなく、公家に伝えられた神事としての性格を色濃く残しており、射手は古式ゆかしい狩衣姿で化粧をほどこし、綾藺笠をつけて流鏑馬に望みます。
 
今年の射手に選ばれたのは、高山中学校2年生の増田啓吾くんです。
 
本番前のやぶさめパレード
 
啓吾くんは練習中に落馬して骨折するという事故のため、常になく馬上練習が短期間となりました。それでも、強い意志を持って練習に励み、10月18日に行われた流鏑馬に挑みました。
 
今年は安全を確保するためにも、馬場を少し広げ、高山流鏑馬保存会のメンバーらが馬場と観客の間に立つことになりました。保存会のメンバーが鏑矢について観客に説明する場面も見られ、流鏑馬の知識を広めることにも一役買ったようです。
 
観客で埋まる参道
 
観客に雁股の矢について説明する保存会メンバー
 
流鏑馬は例年通り、14時から始まりました。馬場を歩いて往復する馬場ならしが終わると、矢を射ずに走る空走りです。
 
鳥居の前から神馬が勢い良く駆け出し、五色の紙吹雪が舞いました。いよいよ始まります。
 
空走りのスタート
 
ところが、一番的を過ぎたあたりで、どよめきが起きました。神馬が射手を振り落としてしまったのです。射手に大きな怪我がなかったことから、再開が決まりました。
 
次は「第一走」です。このとき、射手は神馬が駆け出すと五色の紙吹雪とともに軍扇を投げます。
 
紙吹雪とともに扇が舞います
 
最も重要だといわれている第一走の一番的を白羽の矢が見事に射抜きました。しかし、続けて二番的へ向かう途中で、再び神馬から射手が振り落とされてしまいました。
 
白羽の矢が立つ一番的
 
射手は落馬の衝撃を乗り越えて、第二、第三走に挑み、一番的を射抜きましたが、残念ながら同様にほぼ同じところで、落馬が繰り返されてしまいました。
 
しかし、諦めることなく挑んだ射手に、観客からは温かい拍手が送られました。
 
共に大役を果たした馬をいたわる啓吾くん
 
大役を果たした啓吾くんは「怖かったけれど、せっかく射手になったのだから最後までやりたいと、続けました。これまでつらいことは避けていたけれど、最後まであきらめない心を学びました。射手をやってよかったです」と話し、自身の成長を感じた様子でした。
後射手(昨年の射手)の川野雅くん
昨年の射手で今年の後射手を務めた川野雅くんは啓吾くんのアクシデントを受けて「自分が代わりに乗ることは簡単なことですが、啓吾くんが乗ることが大事だと思いました。昨年の自分よりも矢を多く当てているのだから、それだけで十分、大役を果たしたと思います」と話しました。
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