地球を取り囲むようにして存在するヴァン・アレン帯。このヴァン・アレン帯は極めて厳しい放射線環境帯であるとともに、生命にとって有害である太陽風を遮るシールドのような役割をもっています。
ヴァン・アレン帯の断面図 ©NASA
そんなヴァン・アレン帯の中心部で直接、高エネルギー電子が生まれる過程を世界で初めて観測する衛星がジオスペース探査衛星ERG(エルグ)です。
ERGの模型
10月20日には今年度中の打ち上げが予定されているイプシロンロケット2号機に搭載されるERGの報道向け機体公開が内之浦宇宙空間観測所でありました。
機体公開の前に今回のプロジェクトチームからプロジェクトマネージャの篠原育准教授とプロジェクトサイエンティストの三好由純客員准教授が記者室に登壇し、ERGについての説明が行われました。
篠原育准教授と三好由純客員准教授
二人の担当者によるとERGは、前述したヴァン・アレン帯に存在する、高エネルギー電子の誕生と消失の過程を1年以上観測する衛星。太陽電池パドルを持つ、黒い箱型の機体で総重量は約350キロになるそうです。また強い放射線にさらされるヴァン・アレン帯の中心で、高精度の観測を行うために放射線シールドや放射線耐性の高い部品、材料の採用など様々な工夫が施されているとも話しました。
クリーンルームで整備、試験運転中のERG
世界の様々な研究機関もこの計画を待ち望んでいて、それらと協力して研究を進めることで、宇宙天気予報の精度向上や人類の宇宙進出の広がりなどが期待されます。担当者は「国際探査の一翼を担うものになると信じている」と話を締めました。
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