【きもつき情報局】絆結ぶ「いったんもめん」

開けた水田地帯と海に迫る山の両方が存在する肝付町波野地区。
 
そんなのどかな地域のある民家の門には、月に数回、ハートをかかえた妖怪「いったんもめん」のイラストが描かれたのぼりが立つ。
 
のぼりには「いったんもめんと結いの会」の文字。
 
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人目をひくのぼり
「なんの会だろう?」と思う人も多いだろう。実際、そう思って尋ねるために門をくぐる人もいる。
 
会の正体は、地域住民によるボランティア活動グループだ。
 
いったんもめんは、肝付町の旧高山町エリア、なかでも波野地区にある権現山のふもと・轟の滝周辺などに出没したと伝わる妖怪であり、グループはその地元の妖怪にちなんで名付けられた。
 
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「高山郷土誌」にも「いったんもめん」について記載がある
(紙面にある「波見」は波野地区の一部)
 
会の立ち上げのきっかけは、肝付町社会福祉協議会の呼びかけで2016年1月に始まった波野地区とその南隣の海岸部に位置する有明地区の二つの地区の住民による合同座談会。二つの地区では、それぞれで助け合い活動が行われていたが、地域の枠を超えて活動してはどうかと提案があったのだ。
 
地域で高齢者が一人暮らしを続けるにはなにが必要なのか、一人暮らしの高齢者や地域住民が困っていることはなにか、自分たちにできることはなにか。
 
そうしたことを約一年間かけて話し合い、活動内容を週に一度「おかず」をつくって提供する「おすそわけ」と、月2回(第2、第4土曜日)子どもたちと一緒に活動する「地域クラブ」をすることに決めた。
 
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2016年12月には有明地区の港でのイベントにも参加
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もちの販売や長巻き寿司づくりを企画
(できあがった長巻寿司は25.5メートル!)
 
メンバーは両地区の60代~70代、約20名。拠点となる民家は、家主の好意によって空き家を無償で借り受け、準備資金に厚生労働省の「高齢者生きがい活動促進事業」(※)を利用して整備、2017年3月から本格的に活動を開始した。
 
※地域課題の解決に向けた高齢者の活動について、先駆的な取組みを全国に普及するためのモデル的な事業の立ち上げ費用に対する補助を行うもの
 
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オープニングセレモニーには雨にもかかわらず住民たちが集まった(2017.3.5)
 
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「いったん(一反)もめんと結いの家」看板の前で記念撮影も
看板は波野地区公民館で長年、民芸講座の代表を務めた西之園幸太郎さん(83歳)が制作した
 
坂口喜作会長は「なにができるか1年かけて話し合い、みんなの熱い思いが集まった家。できるだけ長く活動を続けていきたい」と語る。
 
水道光熱費や材料費などの活動資金は利用券(支え愛チケット・1枚300円)の販売でまかなう。また、野菜など材料の提供も受けつけていて、提供者には3枚で利用券1枚に交換できる券(ありがとう券)を渡している。
 
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利用券「支え愛チケット」
現在、活動開始から約2ヶ月。
 
毎週水曜日の「おすそわけ」活動、おかずづくりは、7~8名の女性メンバーが担う。
 
煮しめやガネ(かきあげ)、コロッケ、手打ちそば、煮込みハンバーグなど、メニューを一カ月分決めて、毎週月曜日締め切りで注文を受けている。注文するのは、やはり一人暮らしの高齢者が中心で、「毎回ほしい」とまとめて頼む利用者もいるそうだ。
 
「注文数は平均で90食くらい。朝の8時から取り掛かります」とメンバーは話す。
 
おかずは作るだけでなく、配達もする。有明地区からは受け取りに来てもらっているものの、お昼に間に合わせるために11時頃には作り終えなくてはならず、「毎回大騒動」という。
 
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作業を分担しても大忙し
 
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できあがった煮しめとガネ

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庭に出て配達を待つ利用者も

 

第2、第4土曜日は「地域クラブ」として、子どもたちが利用する。
 
学校の授業がある第2土曜日はとりわけにぎやかだ。学童保育代わりに利用している小学生に加えて、中学生たちが昼ごはんを食べに訪れる。
 
取材した日に訪れていたのは、波野中学校の陸上部員10名に波野小学校の児童7名。中学生たちはここで昼食をとってから部活動に向かうという。
 
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部活動前に腹ごしらえをする中学生ら

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ハンバーグに炊き込みご飯とわかめスープの昼ごはん
 
食欲旺盛な中学生たちはごはんを3杯、4杯とおかわりするので、「あんなに食べて、よく走れるものだね」と食事を出す女性たちが笑っていた。
 
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お礼をいう生徒たち
 
小学生たちは昼ごはんの後、外でひと遊びしてから宿題開始。真面目に宿題に取り組む子もいれば、なかなか集中できない子もいる。
 
宿題の後は、ビデオ鑑賞したり、外に遊びに出たりと思い思いに過ごす。学校のない第4土曜日は朝の8時半から訪れて15時まで過ごす子どももいるそうだ。
 
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宿題をする子どもたち
 
子どもたちの食事が終わると、メンバーも昼食をとって、後片付け。一段落ついたところで、活動記録をつける。
 
今後の課題を聞いてみると、「おかずの量や内容」との答え。メニューによっては見た目の量が少なくなってしまうことも、悩みだという。
 
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雑談をまじえつつ、活動記録をつけるメンバー
 
また、持ち込まれる野菜などもあるので、そのときそのときでメニューのちょっとした変更もある。一カ月間のメニューを決めるのもなかなか難しいそうだ。
 
まだまだ始まったばかり。手探りのなか、地域をつなぐ活動は続いていく。
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