肉、魚、野菜、果物など食品関係が圧倒的に多い肝付町のふるさと納税返礼品のなかに、今年10月「ロケット打ち上げの見えるシェアハウス使用権」が加わった。
もっと正確にいえば、移住の足がかりになるシェアハウスをつくることを目的に、ふるさと納税を利用してプロジェクトへの資金を募るクラウドファンディングが始まった。
ロケット打ち上げ時に町内の宿泊施設が不足することに着目して、資金をもとにつくるシェアハウスの「使用権」を返礼品に設定したのだ。
シェアハウスとなるのは内之浦地区にある元旅館。改装し、事務所やフリースペース、シェアハウス設備等を備えた多目的施設として整備する。シェアハウスの使用権枠には、入居状況にもよるが、10部屋程度をあてる見込みだ。
使用権については、例えば、5万円寄付すると、シェアハウスオープンから5年内に限り、空き部屋を7日分利用できることになる。
※プロジェクトについて、詳しくはこちら。
企画したのは、園田欣大(よしひろ)さん(39歳)。着任して2年目の地域おこし協力隊員だ。
プロジェクトについて説明する園田さん
園田さんは長崎県対馬市の出身で、10数年間、富山県で働いていたが、九州で起業したいと考え、2016年、肝付町の地域おこし協力隊に応募した。
内之浦地区で暮らし、企業の商品開発部門で働いていた経験をいかして、これまで地域の商店のネットショップ開設や特産品づくりなどに取り組んできた。地域づくりボランティアグループ・内之浦創星会にも加わって、積極的に地域活動にも参加している。
内之浦創星会のメンバーとしてイベント会場づくりに励む
最長3年間の任期終了後も、同地で暮らし続けることをのぞみ、今年2月には商会を立ち上げた。そして、事業展開に向けた事務所を構えるにあたって、国道に面した元旅館の建物を入手した。「この建物を利用すれば、移住促進の拠点をつくれるのではないか」と思ったからだ。
移住促進拠点施設へリフォーム予定の元旅館
肝付町では人口減少が進んでいる。内之浦地区では新しく店ができることも少ない。
そんな状況の中、「新しくなにかを始める人達にぜひ来てもらいたい」と考える。
自身の経験から「移住には、引越し料金はもとより生活用品をそろえるだけでもお金がかかる。その土地になじめるかどうかもわからない状態では、なかなか移住まで踏み切れない。その移住へのハードルを低くするためにシェアハウスをつくろう」と計画した。
シェアハウスであれば、境遇が近い人が集まることで、移住者が孤立することも避けられ、定住化を見込める。対象は若手単身者がメインだ。施設は、宇宙のまちにちなんで「宙(そら)ハウス」と名付けた。
「田舎ですが、内之浦宇宙空間観測所があり、ロケット関係者など外部からの人がよく来るからか、『よそ者』を受け入れる土壌があって移住者も過ごしやすいと感じる。ふらっと出かけられる場所に、とてもきれいな海があるのもいい」と地域の可能性と魅力を語る園田さん。
地域からの期待も厚く、旅館で使用していた器などの譲渡会を開き、資金集めのため会場に募金箱を設置したところ、寄付するためだけにわざわざ来場する住民もいた。予想以上の額が集まったことに、ますますプロジェクトへの思いを強くする。
旅館で使っていた器などの品の譲渡会場
クラウドファンディングの期日は11月30日。
現在、リフォーム作業を進めつつ、「ロケット打ち上げを一緒に見ましょう!」をキャッチフレーズにPRのため奔走中だ。
※このクラウドファンディングは期日までに目標金額に達し、終了しました!
※施設整備・プロジェクトの進捗状況等についてはこちら。
※クラウドファンディングについてはこちら。
※肝付町地域おこし協力隊の活動についてはこちら。
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