緑のふるさと協力隊として2017年4月に肝付町へ赴任した渡邉藍子さん。
岡山市出身で、大阪で働いていた渡邊さんにとって都市部以外で暮らすのは初めての経験です。また、肝付町側も、町での受け入れは5人目でしたが、これまでは海岸部の岸良地区で受け入れをしており、山間にある川上地区での受け入れは初めてのことでした。
およそ1年にわたる「田舎暮らし」のなかで感じたことを渡邉さんに聞いてみました。
川上地区の物産館「やまびこ館」で囲炉裏を囲んで談笑中の渡邉さん
◯肝付町・川上地区で暮らして驚いたことや印象に残ったことは?
なにより驚いたのは自然の豊かさです。「満天の星空」というものを初めて見ました。大阪ほどではないですが、岡山の実家でも明かりがあるため、川上地区でのような星空を目にしたことはなかったです。
そして、人の温かさも感じました。自分からぐいぐい近づいていく性格じゃないのですが、地域のみなさんから声をかけて、気にかけてもらい、ありがたかったです。野菜や料理などのおすそ分けもよくいただきました。こういうことは、大阪の暮らしではなかったですね。
また、夏場のスイカの消費率はすごいですね(笑)。水分補給用に、奉仕作業の後などに毎回のように出てきて。それまであまり好きじゃなかったのに、とても美味しく感じました。昔ながらの知恵というのか、スイカは水分補給に合っているんですね。
やまびこ館は地域の人々の交流場所でもあります
◯暮らしてみて戸惑ったことなどはありましたか
大阪では一人暮らしで近所付き合いもなかったので、はじめのうちは、つきあい方、距離のとり方に戸惑いました。
また、緑のふるさと協力隊受け入れの前例がなく、地域のみなさんは、ボランティアという立ち位置の自分に、どのような仕事をどのくらい頼んでよいのか、判断するのが難しかったようです。「日当を払うほうがいい」という声もありました。お互い手探りでしたので、今振り返ってみると「もっとできたことがあったのではないか」と思います。
田舎ってのんびり暮らせると思っていたのですが、忙しかったです。奉仕作業など何かしらすることがあります。都市部のせわしなさとはまた違う忙しさです。
やまびこ館のスタッフとして活躍(高山やぶさめ祭会場にて)
◯希望していた農業体験を実際にやってみてどうでしたか
田んぼを借りて田植えから、稲刈り、掛け干しと、水の管理はしてもらいましたが、一通り体験しました。とりわけ、草払いの大変さには、びっくりしました。田んぼのなかにはそれほど草ははえなかったのですが、周辺は払っても払っても次々に伸びてくる。ここまでとは知らなかったです。奉仕作業などで、草刈機を使って払っていく高齢の方の体力には驚きましたね。
◯川上地区、肝付町でぜひ紹介したい、おすすめしたい見どころなどは?
岩屋の彼岸花はぜひ歩いてまわって見てほしいですね。清純の滝もすごく綺麗ですが、行きづらい場所にあるので、気軽に「来てください」とはいいにくいのが、もったいないです。管理の問題などはありますが、道路・遊歩道の整備をぜひしてもらいたいです。
流鏑馬は初めて見ましたが、射手と馬の一体感、力強さがなんともいえません。イプシロンロケット3号機の打ち上げを宮原見学場から見ましたが、お金を払っても見学場から見る価値はあると思いました。
食べ物は、川上のお米はおいしいのでぜひ味わってほしいです。やまびこ館で売っている煮しめもおすすめです。
四十九所神社で巫女としてお手伝いしたことも
◯緑のふるさと協力隊の「後輩」に向けてメッセージをどうぞ
仕事をしながらだと、グラウンド・ゴルフの練習やサロン活動など地域の活動に参加することはなかなかできません。そうした地域の活動に参加できることが、緑のふるさと協力隊の魅力だと思います。
それでも地域のことを知るには一年間では足りず、少しわかりかけたところで任期が終わってしまうという面もありますが、行ってみないとわからないこともあるので、ぜひ挑戦してもらいたいです。
渡邉さんは2018年3月に任期を終えて、肝付町を離れます。しかし、7月に川上地区で開催を計画しているイベントの実行委員になっているとのことで、つながりはまだまだ続いていきます。
※渡邊さんのブログ「田舎暮らし備忘録*緑のふるさと協力隊@鹿児島県肝付町川上地区」はこちら。
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