【きもつき情報局】「あれば便利」はなくてもいい

2016年4月に肝付町では5人の地域おこし協力隊が着任しました。
 
そのうちの一人、春日井和恵さんは、ANA総合研究所の地域活性化支援事業の休職制度を利用して、地域おこし協力隊となったCA(客室乗務員)です。
 
期間は最長3年間ですが、会社との話し合いにより、今年(2018年)3月で任期を終えることになりました。
 
「本職を辞めることなく違う職種に携われる機会はなかなかありません。生活拠点を移すことに勇気はいると思いますが全然違う生活を味わえますので、他の社員にも制度の利用をおすすめしたいですね」という春日井さんに、肝付町での2年間を振り返ってもらいました。
 
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インタビューに応じる春日井さん
 
◯これまでの活動について教えてください
 
空港イベント等で肝付町のPR活動をしたり、ANA総合研究所とツアーを企画したりしたほか、小中学校でおもてなし講話やマナー講座、航空教室、職業講話の講師などもしました。
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学校で子どもたちに囲まれる
 
特に印象に残ったのは、やはり「ご当地プレーン(※)」就航でしょうか。さまざまな調整も大変だったのですが、一番悩んだのは、(機内の各座席に置かれる)リーフレットの作成です。一番お客さまの目に触れるものですし、どうしたら肝付町へ来てもらえるか、内容やデザインを決めるのに苦労しました。
 
※自治体とコラボレーションした飛行機。「肝付号」は機体後方に肝付町の名前と町花の菊のイラストがデカール(シール)としてはられている。
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ご当地プレーンと永野町長
 
ご当地プレーンは昨年7月末に就航しました。通常は鹿児島空港へ来ることはないのですが、調整して、お盆に合わせて便数の増える8月半ばに鹿児島空港へ飛行してもらいました。本物を見て、「本当にできたのだな」と実感できました。
 
また、昨年8月に行われた肝付町の「青少年海外派遣事業」も思い出深いです。事前研修から中学生と触れ合って仲良くなれました。素直な子たちなのですが、「伝える難しさ」をあらためて感じ、先生たちの大変さも実感しましたね。
 
何かアイデアを出して形にしていく仕事は初めてで、振り返って、町の人のためになったのだろうか、もっとほかにできることがあったのではないかという不安があります。
 
肝付町の名前は、正直にいいますと、まだ浸透していない、知られていないです。「肝付」という漢字も他の地域の人には読めません。まずは名前を覚えてもらうことが大事ではないかと思います。
 
内之浦創星会のように、もっと多くの住民の方が地域おこしに取り組むようになればよいのではないでしょうか。
 
 
◯ブログではよく「食」をテーマに発信されていましたが、特に印象に残った食材などはありますか?
 
もともと肉が大好きなんですが、こちらは肉、特に牛肉が安くておいしいですね。イノシシ肉もいただきましたが、おいしかったです。
 
肉以外で驚きだったのは、パッションフルーツとキンカン。
 
パッションフルーツはこんなにおいしいものだとは知らなかったですし、キンカンもまるごと生で食べるなんて初めてでした。辺塚だいだいも、パッションフルーツと同じく焼酎によく合います(笑)。PRイベントにも活用しました。
 
ちなみに食材は豊富でしたが、残念ながら料理の腕は上がらなかったです(笑)
 
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空港でのPRイベント
 
◯肝付町で特に印象に残ったものは?
 
こちらでは当たり前にある自然です。
 
たとえば姫門の竹林。自然のなかで遊ぶ機会の少ない東京からキャンプで訪れた子どもたちが、竹林の中
を流れる川で川遊びをしてとても喜んでいました。
 
岸良海岸ではウミガメの産卵を初めて見ましたが、神秘的です。本当に涙を流すのだなと感動しました。それにどこからでも星がきれいに見えます。
 
ロケットの打ち上げもすごく感動しました。イプシロン2号機で初めてロケットの打ち上げを見て、3号機はまたとてもきれいで。以前は、ロケットが肝付町から打ち上げられることも知りませんでした。
 
 
◯なにか自分自身に変化がありましたか?
 
知らなかった世界に触れることで、考え方や価値観が変わりました。
 
名古屋出身で、都市部でしか暮らしたことがなかったため、バスも一時間に一本あるかないかという地域で、一体どうやって生活するのだろうと思っていました。
 
でも、実際に暮らしてみると、そうした不便さは生活の一部であって気になりません。いろいろなものはなくても、貧しいわけではなく、当たり前のようにおいしい食べ物があって生活が豊かです。あれば便利なものというのは、なくてもいいんだなと感じました。
 
来たばかりの頃は、あれもこれもしないといけないと一人だけせかせかしていたように感じます。自分ひとりで解決しないといけないと思っていました。でも、なにげなく言葉に出すと、「こうすればいい」と意外と簡単に助けてもらえました。相談しやすい環境のおかげで、人に相談してもいいのだと思えるようになりました。
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地域おこし協力隊の仲間たちと(※2017年は6名になりました)
 
 
◯今後の予定は?
 
客室センターというところの配属になって、復帰訓練を受け、客室乗務員として働くことになる予定です。2年間でマニュアルも変更されていますし、本当に戻れるのかとも思いますが(笑)
 
鹿児島便に乗る可能性もあります。また海外派遣事業で中学生が飛行機に乗ることがあれば、その便にぜひ乗務したいですね。
 
 
◯おまけ:お酒が好きという噂ですが…?
 
お酒はワインなどいろいろ飲んでましたが、こちらに来るまで焼酎を飲むことはなかったです。こちらで出てくるのはビールか焼酎がほとんどということもあり、焼酎を飲むようになってすっかり大好きになりました。麦ではなく、芋です(笑)。
 
どれもおいしくいただいてますが、水割りなら大海酒造、お湯割りなら小鹿酒造の焼酎が好きです。印象に残った鹿児島の焼酎としてあえてあげるなら「萬膳」(万膳酒造・霧島市)、おいしかったですね。
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