【きもつき情報局】平成の最後を駆ける高山流鏑馬 2018

2018年10月21日。
 
流鏑馬のときには雨が降らないといわれている通り、すっきりとした秋晴れのもと、「平成」最後となる高山流鏑馬が行われた。
 
およそ900年の歴史を持つ高山流鏑馬は、武芸ではなく、神事だ。射手は、2日前に「潮がけ」して宮籠もりし、潔斎する。当日は弓受けの儀を経てその身に神を宿し、流鏑馬にのぞむ。
 
今年の射手は大園悠馬くん(射手の紹介記事はこちら。奇しくも悠馬くんの父親、健一さんも30年前に「昭和」最後の射手を務めた。
 
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(射手の悠馬くん。同級生たちが「優しい」と口をそろえる。
性格は明るく、いたずら好きな一面もあるそう)
 
7月末の射手決定からおよそ3ヶ月。毎年、本格的な練習が始まって2カ月足らずの期間で、乗馬経験のない少年が、走る馬の上で両手を放し、矢を射るまでになる(今年の練習の様子はこちら)。
 
馬の走る速さ、揺れ、落馬の衝撃。そうした怖さを克服して、今年も本番を迎えた。
 
勢いよく駆ける「流星号」を乗りこなし、4本を的に当てた。そのうち中心軸に当たった「籠矢(こもりや)」が1本。三走とも一番的をすべて射抜き、落馬もなく、無事に大役を果たした。
 
神事を終えた後、馬からおりて、ようやく笑顔を見せた悠馬くん。
 
「父を超えることができなくて悔しい。(矢を背負ったえびらから)抜くのがかたいとは聞いていたけれど、うまく抜けなかった。(そうした経験を)来年、後射手として、射手に教えることができれば」
 
悔しいとはいっても、晴れやかな表情を見せた。
 
真砂を撒いて場を清める「しおまき」として、練習から本番まで息子とともに過ごした父の健一さんは「本人はくやしそうだったが、立派につとめたのでほめてあげたいです。(練習を経て)顔つきが変わり、男として大きくなったと思います」と息子の成長ぶりを実感していた。
 
裏方として支えてきた母の志穂理(しおり)さんは「本人の目標は達成できずにくやしいと思うけれど、何度も落馬しながらも練習を続け、よく頑張ったと思います。怪我をしなかったのが一番です」と安堵の表情を見せた。
潮がけから流鏑馬本番までを駆け抜けた、射手たちの姿を写真で紹介する。
 
【10月19日 潮がけ】
 
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本番2日前に行う潮がけの神事。午後12時に四十九所神社を出発。
約2時間かけて禊の場、柏原海岸に赴く。
 
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道中には小中学校も。子どもたちの声援を受ける射手の悠馬くん。
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行き道の先頭は後射手の蓮くんが務める。
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射手の悠馬くんが騎乗するのは「はやぶさ号」。
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潮がけの神事が行われる柏原海岸。
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引き締まった表情で神事に挑む射手(右)と後射手(左)。
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海水を極端にこわがる「流星号」。
【10月21日 流鏑馬】
 
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午前8時過ぎに射手の化粧が始まった。
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午前10時、武者行列を率いてパレードに出発。
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午前11時半に始まった弓受けの儀。この時少年に神が宿った。
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午後2時に始まった流鏑馬奉納神事。射手の父親が真砂で馬道を清める。
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その姿を一目見ようと町内外から多くの見学者が訪れた。
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空走りに続く一走目。鳥居前の馬回しでは五色の紙吹雪が舞う。
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二番的に狙いを定める。
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三走目も勢いよく駆け出す。
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何事もなく三走目を走り終えた。
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中心に当たった籠り矢は四十九所神社に奉納される。
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「少年」に戻った射手の悠馬くんと後射手の増田蓮くん。
掲載しきれなかった写真を中心にスライドショーにしてまとめました。ぜひご覧ください。
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