昔の町並みの残る、肝付町新富の八幡馬場にある料理店「きらく」。
2016年8月にオープンし、日高俊行さん、真奈美さん夫婦が営んでいます。
「草津(滋賀県)で料理店をしている叔父から店名と味、ノウハウなどを引き継ぎました」と俊行さん。
(きらくを営む日高さん夫妻)
店内は座敷席となっていて「赤ちゃんや小さなお子さんづれでも気軽に来店して、ゆっくり食べてもらえれば」と真奈美さんは話します。
(子ども用の取り皿やスプーンなども準備)
肝付町の内之浦地区でとれるイセエビや高山漁協で水揚げされた新鮮な地魚、猪肉など地元の産品をメニューに取り入れていて、さまざまな種類の定食や焼き鳥などの居酒屋料理を味わえます。そのなかに、毎月第3土曜日(※)になると、高山漁協でしか生産されていない「辺塚だいだいカンパチ」を使った「漁師飯定食」が登場します。
※取材時の情報です。2019年1月現在、毎週土曜日・完全予約制(2日前までに予約)に変更されております。最新情報は店舗ホームページでご確認ください。
「辺塚だいだいカンパチ」は鹿児島県指定のブランド「かごしまのさかな(※)」として認定されています。その名の通り、「辺塚だいだい」を食べて育ったカンパチのことで、血合いが鮮やかで臭みがないという特徴があります。
※かごしまのさかなづくり推進協議会が、県内生産者のモデルとなるような優れた養殖ブリ・カンパチを審査・認定する
(水揚げされたばかりの辺塚だいだいカンパチ)
辺塚だいだいは、肝付町と南大隅町にある辺塚地区周辺に自生していた、香りの強いみかんの仲間。柚子やかぼすなどと同じ香酸柑橘類で、独特の爽やかな香りを持つ上に、農薬を使わないでも栽培できる丈夫なみかんです。肝付町では、その特産品化を進めており、PRに努めています。
(肝付町で栽培されている辺塚だいだい)
この「辺塚だいだいカンパチ」を、さまざまな味で楽しめるように工夫を凝らしているのが「漁師飯定食」です。
辺塚だいだいカンパチのづけ、あぶり、マヨあぶりの3種類をのせた丼に、お造りとアラ汁がつきます。
づけは俊之さんが叔父から伝えられた特製のつけ汁に漬け込んだもので、マヨあぶりは奥さんの真奈美さんが考案したものだそうです。
(3種の味を楽しめる辺塚だいだいカンパチ丼!)
また、辺塚だいだいカンパチは、だいだいに由来する香りがすることもあり、「『柑橘系の香りがする』とお客さんからも聞くことがあります」とのこと。若い人から年配の人まで、年齢層を問わずに人気のメニューのひとつとなっています。
「みなさん生臭くないといいますし、さばいているときも生臭さがないんです」と日高さん夫婦は口を揃えます。
この「漁師飯」がメニューに加わったきっかけは、昨年(2017年)11月に鹿屋市の霧島ヶ丘公園で開催された「第3回おおすみ漁師飯グランプリ」。大隅の各地域の漁協と料理店が協力し、地魚を使ってつくり出した「漁師飯」を、食べた人が投票する形式で味を競うイベントです。
(昨年の漁師飯グランプリのブース)
そこに「辺塚だいだいカンパチぜいたく丼」を高山漁協とともにつくって参戦、ブースの前には長い列ができ、見事3位となりました。
このとき、つくられた丼をもとに「漁師飯定食」として提供することになったのです。
(漁師飯を目当てに並ぶ人の列)
料理人としてのやりがいは「やはりお客さんに満足して帰っていただけること」。そのためにも、「他にはないものをつくりたいので、いろいろ試しています」と語る俊行さん。漁師飯定食も、最初にメニューに登場したときは丼だけでしたが、「刺身が食べたい」との声が多いことから、お造りをつけるなどして変化しています。
「これからもまだ変わる可能性はあります」と進化中の漁師飯。肝付町を訪れ、「きもつきの味」として、ぜひ楽しんでみてください。
(取材協力:きらく、高山漁業協同組合)
※辺塚だいだいカンパチ②では、辺塚だいだいカンパチを生産する高山漁協を紹介しています。
(駐車可能台数は30台と広々!)
(毎週金曜日はエビFriday!有頭エビ2匹のエビフライ定食が500円!)
(チキン南蛮も人気メニュー!)
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