【きもつき情報局】侍金の煮しめづくり~三角形の謎とともに

具材や味付けはさまざまながら、全国各地でつくられている「煮しめ」。
 
なにかの集まりには、つきものの料理で、肝付町でもよくふるまわれます。
 
 
この煮しめ、みなさんのご家庭でつくられる際に厚揚げやこんにゃくはどんな形に切られているでしょうか。
 
以前、ところてんづくりの取材を岸良地区でした際に「お盆のそうめん汁にのせる厚揚げやこんにゃくは三角形に切らないといけない」と聞いたことから、肝付町内のサロン(高齢者の方々の交流を目的とした集まり)などの集まりで食べさせていただいた厚揚げやこんにゃくは三角形のものを「あまり見たことがないかも?」と気づきました。
 
(波野地区のいったんもめんと結いの会でつくられた煮しめ)
 
(川上地区のやまびこ館で人気の手作り煮しめ)
(過去の写真の中からなんとか探し当てた、厚揚げが三角形の煮しめ。池之園のサロンでいただきました)
 
そこで、岸良のほか内之浦や高山、肝付町内各地域で聞き取り調査をしてみたところ、多くの女性が母親やお姑さんから煮しめのこんにゃくや厚揚げを「葬式やお盆のときは三角形に切るように教わった」と答えました。葬式を自宅で行っていた昔は、近所の人が集まってみんなで煮しめなどの料理をつくっていたので、その場で教わることも多かったようです。
 
理由については、はっきりしておらず、ところてんの記事で紹介したように「死装束の頭巾の形」や「葬式のときに肩にかけていた三角形の布」にちなんでいるのではという意見が多数でした。身近な「煮しめ」にも謎があるものですね(理由をご存知の方はぜひご一報ください)。
 
その煮しめは、肝付町ではどのようにつくられているのか。内之浦地区の「侍金(さぶれがん※)」で煮しめづくりをするというので、取材させてもらい、動画に収めました。みんなでわいわいと楽しそうにつくる様子を御覧ください。
 
※この独特の地名について取材時に尋ねると「金持ちの侍がいたから!」という冗談も飛び出してきましたが、昔、製鉄をしていたので、鉄にちなむのだろうとのことでした。
 
 
この煮しめは、サロンで食べるために、メンバー数名が前日に集まってつくったもの。ですから、こんにゃくも厚揚げも三角形には切っていません!
 
【侍金の煮しめの作り方メモ】
□材料
里芋、干大根、厚揚げ、干ししいたけ、昆布(結び昆布)、たけのこ(コサンダケと孟宗竹の2種類)※コサンダケは鹿児島での呼び名。布袋竹(ホテイチク)のこと。
 
(この日使った里芋は昔ながらの「八頭」と「赤芽芋」。メンバーが栽培したもの!
赤芽芋のことを、かつて「沖縄芋」と呼んでいたそうです)
 
□味付け
だしの素、ざらめ、薄口醤油、干ししいたけのもどし汁
 
□作り方(おおよそ)
①材料を切り、煮えにくい順に下から鍋に入れ、干ししいたけのもどし汁と水をひたひたに入れて、火にかける。
 
②沸騰したらだしの素、ザラメをいれ、ザラメがとけたら薄口醤油を入れて煮る。
 
(干し大根をつくるときは大根を蒸してから干すと調理が簡単でいいよ、と教えてもらいました)
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