肝付町川上在住の芸術家、JOUさんと松本充明さんが発起人となって昨年からスタートした夏の芸術祭「おおすみ-かごしま芸術祭2013」が7月27日、内之浦漁港と内之浦銀河アリーナで開催されました。
肝付町をはじめとする大隅地域の4市町4会場で始まった同芸術祭、今年は県内各地の9市町27会場に拡大し、7月19日の鹿児島市内でのオープニングイベントを皮切りにして、これまでに伊佐市や霧島市、鹿屋市で国内外のアーティストがパフォーマンスや作品展示などのさまざまなアートイベントを行っています。
7月19日に鹿児島市のマルヤガーデンズで行われたパフォーマンス
内之浦でのイベントでは、まず漁港を舞台に71歳で現役ダンサー・振付家として活躍している花輪洋治さんがチェロ奏者の森重靖宗さんとともにパフォーマンスを行いました。潮風の吹くなか、青い空と緑の山を背景に繰り広げられるしなかやで力強いダンスとチェロの演奏に集まった観客は大人も子どももすっかり魅了されたようです。
内之浦漁港でのパフォーマンス
次に会場を内之浦銀河アリーナに移して、ダンサーの平井優子さんとJOUさんを講師としたダンス体験教室が開かれ、小さな子どもから大人まで約25名が参加しました。二人一組になって互いの腕を引っ張り合ってバランスをとったり、背中合わせで押し合いながら座ったり、参加者が楽しそうに体を動かす様子に見物している人からも笑いがこぼれ、会場となった小ホールは和気あいあいとした雰囲気に包まれました。
子どもも大人も参加した体験教室
鹿屋市から訪れた溝口晴子さんは「港でのパフォーマンスは海や船、風、チェロの音色と踊りがひとつになって、まるで映画のようでした。踊りを介して、いろいろな人たちが一緒になってコミュニケーションがとれて仲良くなれるのもすばらしいですね。非日常のとてもいい時間を過ごさせてもらいました」と語り、豊かな自然とアート、人とのふれあいにすっかりリフレッシュした様子でした。
続いて、映像作家の稲葉雅己さんによる「会場の人が何かをすると何かが起こります」という映像プロジェクションがあり、来場者は暗くした小ホールの床に座ったり寝そべったりして、天井に映しだされた幻想的な光の映像に不思議そうに見入っていました。
映像プロジェクションをくつろぎながら鑑賞する来場者
さらに、ダンサー3人によるダンス、チェロ奏者の森重さんと聴覚作家・松本さんの音楽、稲葉さんの映像によるライブ・パフォーマンスが行われ、終了後、JOUさんが事前に何も決めないで、音楽も踊りも映像もすべて即興だったと明かすと会場からは驚きの声が上がっていました。
ダンスと音楽と映像のコレボレーション
最後のアフタートークでは、まず花輪さんが現役ダンサーとして活動するためにシンプルな食事、シンプルな生活を心がけて体を鍛え、トライアスロンに挑戦していることなどを話しました。
また、漁港でのパフォーマンスについて来場者からたずねられると「その環境でどのように踊ったらよいか考えて、踊りながら思いつきでやっています。即興のほうが、その場で変化していく気持ちを伝えられるのでやりやすいですね。みなさんに食い入るように見ていただいて、ありがとうございます」と語り、会場の雰囲気も楽しんだようでした。
アフタートークで話をする(左から)平井さん、花輪さん、JOUさん
花輪さんのパフォーマンスの前に港を訪れて自分も踊ったという平井さんは「潮のにおいがして、山があって、風の音や鳥の声が聞こえるとてもぜいたくな空間。エネルギーがもらえるような自然に溶けるような感じがしました。初めての経験です」と内之浦の自然環境に感じ入った様子で話していました。
鹿屋市の小学4年生の榎屋夢(えのきや ゆめ)さんは「音楽とダンスがすごく合っていたので、即興と聞いてびっくりしました。ダンスを習ってみたいです」と話し、アートに直接触れて刺激を受けたようでした。
記念撮影のため子どもたちと一緒にジャンプするJOUさん
芸術祭の発起人でもあるJOUさんは「来場者ののりがよく、楽しんでもらえたようです。アートを通じて人と人がつながるということが始まったと思えます。子どもたちにはこうした体験を通して、なにかをつかんで、未来の『おおすみ人』になってもらいたいですね」と今後もアートを介して人のつながりが広がっていくことを期待している様子でした。
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