令和6年 正月の奇祭テコテンドン

肝付町の岸良地区に伝わる伝統行事「テコテンドン」が正月2日に開催されました。この行事は、同地区に古くから伝わる神幸祭で、北岳(テコテン山)に登って北獄神社に祀られている権現様(熊野権現)を麓の平田神社に招き、地域の無病息災・厄払いを祈願するもので、一日かけて行われます。

 

【集合! 出発!】
令和6年1月2日の7時50分、スタート地点には昨年を上回る26人が集合。その中にはかつて地域おこし協力隊として岸良地区で活躍し、現在は肝付町観光協会に所属する園田綾音さん(旧姓:田中さん)が一眼レフを構える姿も。園田さんはちょうど1年前にご長男を出産され、久しぶりのテコテンドン参加です。

初参加11名を含む全員で神様に道中の安全を祈願。各自、体温調節と水分補給の確認をしていざテコテン山へ!

【北岳登山口】
9時ちょうどに予定通りの時間で辿り着いた北岳登山口。そこで自己紹介を行ってから再び歩き出した一行ですが、経験者全員から「今年は楽だよね」の声が出るほどポカポカの春日和。苦行というよりは楽しいハイキングといった雰囲気です。

【途中の巨岩】
10時20分。これまた予定通りに全員が休憩地点へ到着。青空の下、巨石から眺める景色は格別です。ここでは少し長めに休憩してから再び出発。

【いざ、山頂へ!】
11時30分。ピッタリ予定通りに全員が山頂到達。

テコテンドンは神幸祭ですので、神籬(ひもろぎ)という、いわば依代を用意して神様に遷っていただきます。その材料は榊で、しかもその場で採取・加工したものに限られるのです。

神主の代役を務める上薗さんが神事の準備をしている間に残りのメンバーは持参の餅を焼いて食べます。これもテコテンドンの慣習のひとつ。

【神事】
祠を清めて新しい注連縄に交換。神籬を準備して祝詞を奏上し、神様にお遷りいただきます。

【巨石登頂!】
北岳の山頂にそびえ立つ巨石、それは2000m以上も離れた麓から視認できるほど巨大なもので、重量に至っては想像すらつきません。ちなみに全国の巨石で100トン級は数多くありますが、まったく比較にならない巨大さなのです。四国にある「足摺の大岩」というのが1000トン級らしいのですが、写真で見る限り、それすら超えているように思えます。ちなみにですが「足摺の大岩」も「北岳の巨石」も共に花崗岩で、地質学上は同じ四万十帯の花崗岩層になります。

【下山開始】
出発は予定通り14時。何事もなく終わってくれることを期待していたのですが、ここでアクシデント発生。子どもたちが急斜面を転がり落ちて木に激突したのです。幸いにもケガはありませんでしたが、やはり油断は禁物。

【中岳神社】
15時20分に中岳神社に到着。神事を済ませて参加者全員で神垂(しで)を神籬の榊に結び付けます。

ここからは太鼓の音と「露払い」の神歌に合わせて、全員で「テコテン柴(馬酔木・アセビ)」を振りながら平田神社を目指します。

今年は子どもたちが太鼓で活躍しました。上薗さんの歌と太鼓の音が澄み切った空と山々に響き渡ります。

「テ-コテンドン、テ-コテンドン、ソーライソーライホー」

【平田神社に到着・神事】
予定通りの16時に無事到着。神主さんに神籬を手渡して儀式の開始です。儀式とは神主さんが神様を抱いて平田神社の周囲を左回りに3回、右回りに3回、神歌を歌いながら回るというもの。その後に神様に御着座いただき、還幸帰山祭が行われます。

最後に神様は「ビュン」と飛んで山に帰られ、残された神籬は解かれて参加者に配られます。

【御茶会】
毎年恒例の御茶会。今年は参加者も多くて拝殿が狭く感じるほどの賑やかさでした。

神職の方々、氏子の皆さん、参加者の皆さん、本当にお疲れ様でした。天候にも恵まれ、令和6年のテコテンドンは無事に終了しました。

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